中長期的な課題への取り組み方
弊社のウリである営業力診断アンケートには、営業方針の浸透度を問う質問があります。期間の違いによって「今期(1年)の営業方針を理解していますか」「中長期(3~5年)の営業方針を理解していますか」という2つの質問です。過去に回答した約600名の傾向として、浸透度が低いのは、短期(1年)と中長期(3~5年)の営業方針のどちらでしょうか。
ちなみに選択肢は四択で、「あてはまる」5.0、「やや当てはまる」3.3、「あまり当てはまらない」1.7、「当てはまらない」0.0というふうに、5.0から0.0までの幅があります。スコアが高いほど営業方針が浸透していることを表します。結果は下表のとおりです。
中長期(3~5年)の営業方針の浸透度の方が低い、という傾向です。今期(1年)の営業方針の理解度が3.75に対して、中長期(3~5年)の営業方針は2.80にとどまります。管理者と担当者の差異は小さく、ほぼ同じ傾向です。これから何が読み取れるでしょうか。
経営者や管理者は今期の営業方針や売上計画は会議などで日頃から説明していて、営業員はある程度理解しています。一方で、中長期の営業方針は、管理者でさえ担当者とほぼ同じスコアですから、伝え方の問題でなく、中長期の営業方針や計画を立ててない会社が多いと思われます。確かに、経営環境がたった1年で激変する時代ですから、中長期の計画は立てられない、という声をよく聞きます。
短期(1年)の計画では売上や利益の達成につながる施策がメインであり、脱炭素やDX、研究開発、人材育成、仕組みづくりなど中長期的な課題が後回しになりがちです。重要かどうか、緊急かどうかによって4象限に分けた図をご覧になった方は多いと思います。この中の「緊急ではないが重要な活動」に入るのが中長期的な課題になります。これにどのように取り組むのか、は企業を成長させるために大変重要です。
ビジョンや経営理念を、社内の目立つ場所に掲げている会社は多いと思います。しかし、ビジョンという将来のありたい姿と、短期計画をつなぐ中長期の計画がないことが問題です。そこで下図のように、ビジョンから、長期目標や中期計画を策定して、短期計画へ関連付けて設定することが有効です。
詳しくは、経営戦略、ビジョン、長期目標から、中長期・短期の計画・営業方針の流れを解説したページ「戦略・計画」をお読みください。