事業計画達成のためには営業方針がカギ

最近お会いした2社の中小企業で実際にあったケースです。地域も業種・業態も違いますが、年商はどちらも数十億円の会社で、複数の事業部や営業部から構成されます。

筆者が経営者と初めてお会いする際に、拙著「事業計画書のつくり方(あさ出版)」を名刺代わりにお渡しします(もちろん、名刺交換もします)。拙著をパラパラとめくった社長は、多くの場合、自社で作っておられる事業計画を見せてくださいます。「どうです。しっかり作っているでしょう」と言わんばかりの自信のある顔つき、「これで大丈夫でしょうか」とアドバイスしてもらいたそうな表情、この2パターンが多いです。

今回お会いした2社とも、経営理念やビジョン、売上や利益などの数値計画を記載されています。「この計画を達成するために、どういう施策を行うのか、各部門長とどのように決めているのですか」と訊ねると、あいまいな答えしか返ってきません。どうも、会議の中で口頭で指示していたり、具体策は部門長に任せていたりするようですが、営業方針として明文化されていないのです。

これの何が問題かというと、売上や利益は企業活動の結果です。営業方針の中で決めた施策を行い、その施策に問題があれば途中で微修正して、施策を達成した結果として売上や利益を達成できるのです。経営戦略と営業方針の在り方について、下図のように考えてみましょう。

13.営戦略と営業方針

上図を解説すると、会社全体として「玩具や電化製品向けに拡販活動を行い、その市場でシェア●%を達成する」という市場目標を掲げます。複数の営業部を有する企業であれば、会社全体の市場目標を受けて営業一部が「玩具製品向けにシェア10%を達成する」という市場目標を立てて、重点市場を明確にします。

すると「どうやって玩具製品向けでシェア10%を達成するのか」となりますので、「100社のターゲットリストを作成して定期訪問を繰り返して、30件のランク2案件を獲得して、最終的に15件を成約する」という顧客開拓面の施策を立てます。

売上●億円、は結果指標です。どういう市場に向けて、●社をターゲットにして、●社のランク2案件を獲得して、●件成約する、のように、営業方針の中で決めた施策を実行して施策の目標を達成する結果として、売上計画を達成できるのです。事業計画達成のためには、営業方針がカギです。

成り行き任せの企業経営にならないように、営業方針を精緻に立てましょう。以下に詳しい解説を載せていますので、ご覧ください。

営業方針のつくり方・使い方

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