売上UPを実現するための「営業力強化の基本と手法」
フロー型ビジネスとストック型ビジネスでは、売上UPの方程式が異なる
企業が存続して成長するためには、営業力を強化して売上UP(売上アップ)を達成することが大切です。ビジネスモデルは大きく分けて、フロー型ビジネスとストック型ビジネスの2タイプがあり、それぞれ売上UPの方程式が異なります。
フロー型ビジネスは、その都度契約を結んで、商品販売やサービス提供を通じて、単発的に収益を上げるビジネスモデルです。機械・装置、工事、情報システムの導入などが該当します。購買頻度が少なく比較的高額なので、提案営業やソリューション営業のスタイルが多いようです。
もう一方のストック型ビジネスは、インフラや仕組みを先につくって、継続的に収益を上げるビジネスモデルです。電気、ガス、通信、継続購入する部材などが該当します。比較的低額で購買頻度が多いので、御用聞き営業スタイルが適しています。この2つのビジネスモデルを整理したのが、下の図表です。
ストック型ビジネス 売上 = 客数 × 成約率 × 客単価 × リピート(継続)率
ストック型ビジネスにおける売上は、上記のとおり「客数」「成約率」「客単価」「リピート(継続)率」の要素で決まります。運送会社に軽油やガソリンを販売する石油製品卸売業を例に、具体的に説明します。
「客数」とは取引契約を結んだ客の数です。客数を増やすためには、訪問件数やウェブサイトを介した接触件数を増やすことが効果的です。
客(運送会社)は従業員であるトラック運転手に法人契約カードを持たせます。ここで注意したいこととして、カードを持ってもらうだけでは売上が立ちません。
トラック運転手は複数枚の法人契約カードを持つことが多く、どのカードで給油するか、言い換えると自社が選ばれるかどうかによって「成約率」が決まります。価格やガソリンスタンドの地理的位置の影響が大きい指標ですが、トラック運転手の場合だと、お気に入りの店員がいるか、ゆっくり休息できるかなど、サービスレベルを高めることで成約率を高められるのです。
スタンドの店員のサービスや声掛けが素晴らしく、品揃えが充実していれば、給油に加えてオイルや備品なども注文してもらって「客単価」が増えます。そして、どれだけ長いあいだ贔屓(ひいき)にしてもらえるか、「リピート(継続)率」によっても売上が変わってきます。
フロー型ビジネス 売上 = 案件数 × 成約率 × 客単価 × リピート(継続)率
フロー型ビジネスの例として、コピー・プリント・ファクスなどの機能を併せ持つ複合機について説明します。複合機メーカーは企業を定期訪問し、リース契約満了などのタイミングを探って、引き合いを獲得します。これが「案件数」です。ここでも、訪問件数やウェブサイトを介した接触件数を増やすことで、商談の入口にあたる引き合いや問い合わせなどの案件数を増やせます。
案件先に対して情報提供や提案を重ね、営業プロセスを1段ずつ上がることで、案件がランクアップして、成約に至る「成約率」が高まります。
案件先の困りごとを的確につかんで差別化提案やクロスセルを行い、より高級グレード機種や複数台をまとめて買ってもらえれば「客単価」が上がります。仮に5年間隔で買い替えられる場合、その次の期間につづく「リピート(継続)率」が高ければ、売上UPに寄与します。
このように、ストック型ビジネス、フロー型ビジネスのいずれにおいても、売上UPの方程式は似通っています。「売上を増やせ」と掛け声をかけるだけでは売上は増えません。売上UP方程式を構成する「客数(案件数)」「成約率」「客単価」「リピート(継続)率」につながる行動を増やすことで、売上UPを達成できます。
営業力強化の基本と手法
客数(案件数)、成約率、客単価を高めるためには、戦略、しくみ、営業行動を強化していくことが大切です。拙著「図解で早わかり 営業力強化の基本と手法」(アニモ出版、2024年発行)では、以下の構成で営業力強化、そして売上UPへ向けた具体的施策を図表入りで分かりやすく解説しています。
分かりやすい図表
左側ページが文章、右側ページがイラストや図表から構成されるページを、7章、59ステップも用意しています。図表の例をご覧いただくとおり、見やすく分かりやすいのが本書籍のウリです。
特に読んでいただきたい方
<2章>
・他社に比べて変化への対応が遅れがち
・自社の強みが明確になっていない
<3章>
・営業組織の方針や目標を作成/共有してない
・営業のやり方は担当者任せで結果を追及してない
<4章>
・人によってやり方が違い、営業成績の差が大きい
・若手がやり方に悩み、なかなか伸びない
<5章>
・翌月の売上見込が読めない
・売上目標がない
・売上が足らないことへの危機感が薄い
<6章>
・営業員の在社時間が長く、訪問件数が少ない
・担当者任せで、上司の指導が足らない
<7章>
・既存客への売上が減り続けている
・新規顧客開拓に取り組めず営業員任せ
・営業ツールや営業教育が不十分で営業員にしわ寄せ
目次や1章の内容は、アマゾンの当書籍ページでご覧いただけます。