2026年、おさえておきたい環境変化トップ10!

2025年の出来事を振り返る

2026年が始まりました。2025年にはどのような出来事があったでしょうか。その一部を挙げてみます。

2025年4月に、アメリカのトランプ大統領が大規模な相互関税を発表しました。もともとは中国からの輸入超過を防ぐために練られたはずだった高関税政策ですが、同盟国である日本や西側諸国にも適用されました。日本からの輸入品にかかる関税率がなんと24%(注:最終的に15%で決着)。発表直後には世界の株価が急落したり、輸出環境の不透明感から企業の設備投資が一気にスローダウンしたりして、影響を受けた企業も多かったと思います。

また、中国国内の内需低迷や過剰生産によって生じた余剰品(EV、太陽光パネル、鉄鋼、家電、化学品など)が、中国企業によって非常に安い価格で海外に大量に輸出される「中国によるデフレ輸出」現象が各国を悩ませています。一部の国が立てた輸入品を食い止める政策は、日本からの輸出にも影響を与えています。このように、保護主義と関税政策がビジネスシーンに大きな影響を与えています。

これを含めて、売上UPコラムの新春恒例「2026年、おさえておきたい環境変化トップ10」を発表します。

2026年、おさえておきたい環境変化トップ10

1. 大国主導の地政学リスクと国際関係の緊張
2. 保護主義と高関税政策の影響拡大
3. 税制改革や支援制度の再編動向
4. インフレや賃金上昇によるコスト構造の変化
5. 為替・金融市場の不安定化リスク
6. 人手不足が経営課題から経営リスクへ転化
7. 節約志向と高付加価値志向の二極化が拡大
8. 脱炭素と異常気象への本格対応
9. AIの実装と現場への浸透
10. デジタル・サイバーセキュリティの重要性増大

これらの環境変化について詳しく説明していきます。

1.大国主導の地政学リスクと国際関係の緊張
ここ数ヵ月を振り返ってみても、高市首相の国会答弁(2025年11月7日)を契機に中国による日本への圧力強化、米国のベネズエラへの侵攻(2026年1月3日)など、大国が主導する地政学リスクが顕在化しました。前者では、中国人旅行客の激減が観光産業に大きなマイナス影響を及ぼしており、国際政治の緊張は企業のサプライチェーンや投資計画に影響を与えます。

2. 保護主義と高関税政策の影響拡大
米国の関税政策強化や「中国によるデフレ輸出」の継続など、各国が自国産業を守る動きには弱まる兆しが見えません。日本企業は、海外市場への輸出拡大を図る一方で、中国製品の低価格攻勢とも同時に向き合う必要があります。国際競争環境の変化は、価格戦略や市場選択、取引条件の見直しを迫ります。

3. 税制改革や支援制度の再編動向
100億宣言や中小企業成長加速化補助金など、成長を志向する中堅企業を対象にした強力な支援策がすでに実行段階に入っています。高市早苗政権は成長分野を明確に定め、投資と成長を後押しする姿勢を鮮明にしています。今後も企業支援策や投資優遇税制の見直しが進み、制度をどう活用するかが企業成長を左右します。

4. インフレや賃金上昇によるコスト構造の変化
原材料価格やエネルギーコストに加え、賃金上昇圧力も中長期的に続くと見込まれます。従来のコスト構造を前提とした価格設定や事業運営は限界を迎えつつあり、どのように付加価値をつくり、どこで効率化するかが企業経営の重要テーマとなります。

5. 為替・金融市場の不安定化リスク
ドル円相場の変動に加え、日本国内では金利上昇や国債消化を巡る不透明感も高まっています。為替や金融市場の不安定化は、輸出入価格や原材料コストに直結し、企業収益を大きく左右します。財務戦略や価格転嫁の巧拙が、業績差として表れやすい環境です。

6. 人手不足が経営課題から経営リスクへ転化
少子高齢化に加えて、女性や高齢者の労働参加率が上限レベルに近づいてしまい、企業側もあらゆる人材確保策を講じているにもかかわらず、人手不足はほぼすべての業種で深刻化しています。「採れない・育たない・定着しない」状況が常態化し、経営課題のレベルにとどまらず、人手不足倒産などの経営リスクへ転化しています。自社の魅力度を高めつつ、採用・育成・省人化を一体で考える人材戦略が不可欠です。

7. 節約志向と高付加価値志向の二極化が拡大
財を持つ人は株高や土地高によって富がさらに増え、持たざる人の家計をインフレが直撃しています。それによって、価格重視の節約志向と、価値を感じるものには支出を惜しまない高付加価値志向の二極化が進んでいます。生活者の価値観変化を捉えきれない企業は、単なる値下げ競争に巻き込まれやすく、提供価値の再定義が売上戦略の成否を分けます。

8. 脱炭素と異常気象への本格対応
トランプ政権誕生により、EV需要減少など脱炭素政策の揺り戻しも見られますが、中長期的に見れば脱炭素対応は不可逆の流れです。単なるコンプライアンス対応にとどまらず、調達・製造・販売を含めた事業戦略の中核として位置づける企業が競争優位を築きます。

また、異常気象はますます苛酷になり、日本の四季は「春・夏・秋・冬」から「夏・真夏・夏・冬」へ変化しつつあることは、読者の皆さんも実感しておられるでしょう。これによりファッション業界では、商品企画や売り場構成、在庫管理の考え方そのものが見直されています。同様に、他の業界においても、気温・降雨・災害リスクといった異常気象を前提条件として経営計画や事業運営に織り込むことが不可欠になっています。

9. AIの実装と現場への浸透
生成AIの活用は「試す段階」から、「業務に組み込む段階」へ移行しています。特に、営業・事務・管理業務を自律的に補助・代行するAIエージェントの登場により、業務プロセス改革や新サービス開発が現実味を帯びています。AIを前提に仕事を再設計できるかどうかが生産性を左右します。大企業はすでに積極的に取り組んでいる一方、中小企業の危機感は薄く、企業間格差がさらに広がる予感がします。

10. デジタル・サイバーセキュリティの重要性増大
クラウドやIoTの普及により、業務効率は飛躍的に高まる一方、サイバーリスクも拡大しています。サイバー攻撃を受けると、アサヒビールやアスクルのように事業の継続さえ難しくなります。取引先や顧客を含めたサプライチェーン全体でのセキュリティ対策が求められ、ガバナンスやリスク管理は経営課題として避けて通れません。

PEST分析で外部環境変化を把握する

今まで述べた環境変化は、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)にかかわる環境変化であり、その頭文字からPEST分析と言われます。

企業をとりまく外部環境が大きく変化したら、まずPEST分析を行います。続いて、市場、顧客、競合といった業界環境(ミクロ環境)の変化を予想します。これらの環境変化が自社にどのような影響を与えるのか、SWOT分析を用いて整理しましょう。そして、社内で共有することから始めましょう。

最新の環境変化を分析して、自社にどのような影響を与えるか考えましょう。3月決算の企業が多いと思いますが、来期の事業計画を立てるために、まず1月に環境分析を実施することをおすすめします。

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