2025年、おさえておきたい環境変化トップ10!
2025年が始まりました。この1年間でどのような環境変化があったでしょうか。その一部を挙げてみます。
1)インフレの進行
2)消費の二極化(節約消費と高額消費)
インフレの進行によるモノの値上がりは、スーパーで食材を買うと実感します。個人的には、年賀状じまいをした人が激増した今年の正月でした。はがきの郵便料金の大幅値上げが理由の1つでしょう。値上げの背景には、人件費の上昇、物流コストの増加、郵便物の減少があります。
インフレに対する節約消費の一方で、インバウンド需要や価値あるものにはお金を惜しまない高額消費が好調です。節約消費と高額消費へと、消費が二極化しています。企業として、付加価値を高めた商品やサービスをどう展開していくか、カギになる1年になると思われます。
新春恒例の「2025年、おさえておきたい環境変化トップ10」を発表します。
2025年、おさえておきたい環境変化トップ10
1.与党の過半数割れにより、新しい政策の発現
2.政府が主導する補助金の充実
3.米国トランプ政権による高関税政策
4.インフレの進行
5.消費の二極化(節約消費と高額消費)
6.深刻な人材不足と人件費の上昇
7.倒産・廃業の増加
8.異常気象の深刻化と脱炭素の動き
9.生産性向上の取り組み
10.AIの現場への浸透
これらの環境変化について詳しく説明していきます。
1.与党の過半数割れにより、新しい政策の発現
与党(自由民主党と公明党)が衆議院選挙で過半数割れになったことで、国民民主党の主張を取り入れて政権運営をしています。その1つとして「103万円の壁」と言われる基礎控除等の引き上げが見込まれます。家計支援策なのですが、別の側面があります。今までは年間収入が103万円を超えないように、働く時間を制限していたパート・アルバイトが勤務時間を増やせるため、人手不足の解消に一役買います。それ以外にも、家計支援につながる政策が増えていくと思われます。
2.政府が主導する補助金の充実
経済安全保障に絡んで半導体や一部業界における工場建設への補助、脱炭素や再生可能エネルギー分野に対する補助等が、引き続き見込まれます。建設・住宅業界で脱炭素化に絡むところでは、ZEHやZEB(一次エネルギー消費量が正味でゼロ又は概ねゼロとなる建築物)に追い風が吹きます。
3.米国トランプ政権による高関税政策
2025年1月20日のトランプ政権発足後すみやかに、貿易赤字が大きい中国等からの輸入関税を大幅に上げると予告しています。これが実現すると、中国は対米輸出と自国経済の停滞を招き、米国は輸入コストが上がるためにインフレが再燃することが予想され、巡り巡って日本の貿易にも影響を及ぼしていきます。
4.インフレの進行
2020年頃から始まった原材料・エネルギー価格や人件費の上昇は依然として継続しており、2025年もインフレの進行が見込まれます。企業は顧客に対して価格転嫁(値上げ)を実施できるか。従業員に対してどの程度の賃金上昇を行うか。企業経営のかじ取りが今まで以上に重要になります。
5.消費の二極化(節約消費と高額消費)
インフレに対する節約消費が身の回りで目立つ一方で、外国人によるインバウンド需要や価値あるものにはお金を惜しまない高額消費が好調です。節約消費と高額消費へと、消費が二極化しています。企業として、付加価値を高めた商品やサービスをどうやって企画開発して営業展開していくか、カギになる1年になると思われます。
6.深刻な人材不足と人件費の上昇
少子高齢化は、今後さらに深刻化していきます。2024年問題(残業時間規制)によって、運送業では運賃上昇と輸送時間の長期化(特に長距離輸送)が、建設業では建設費の高騰と工期の長期化が起きました。それ以外の業種でも深刻化しています。人材育成と職場環境を充実させて、従業員に選んでもらえる会社づくりが今まで以上に大切になります。
7.倒産・廃業の増加
コロナ禍のゼロゼロ融資がなくなり、インフレの進行、人材不足等によって、特に小規模企業において倒産・廃業が増えていくでしょう。
8.異常気象の深刻化と脱炭素の動き
異常気象が年々深刻になり、激甚災害の発生件数が増えています。それに対して2つの動きがあります。1つは防災・減災対策の強化、もう1つは脱炭素と省エネのいっそうの進展が見込まれます。
9.生産性向上の取り組み
人手不足は今後さらに厳しくなりますから、人が従来行っていたことを、省人化・自動化、デジタル、IoTの活用によって代替する動きが強まります。
10.AIの現場への浸透
ChatGPTに代表される生成AIが爆発的に広まりました。AIを企業の生産性向上にどう生かしていくか、問われる2025年になるでしょう。
PEST分析で外部環境変化を把握する
今まで述べた環境変化は、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)にかかわる環境変化であり、その頭文字からPEST分析と言われます。
企業をとりまく外部環境が大きく変化したら、まずPEST分析を行います。続いて、市場、顧客、競合といった業界環境(ミクロ環境)の変化を予想します。これらの環境変化が自社にどのような影響を与えるのか、SWOT分析を用いて整理しましょう。そして、社内で共有することから始めましょう。3月決算の企業が多いと思いますが、来期の事業計画を立てるために、まず1月に環境分析を実施することをおすすめします。
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