売れるターゲットリストをどのように作るか
キーエンスの営業力に着目した記事が近ごろ目立ちます。株式会社キーエンスは、センサーやバーコードリーダーなど、主に工場の生産ラインで効率化に役立つ機器を、ファブレスで製造して直販しており、高い利益率を誇る会社です。或るウェビナーで同社の柘植朋紘氏が語っていて、筆者がすごく納得した内容を太字で紹介します。
売れる/売れないの違いは「行き先」で決まる。ニーズがないお客様にいくら素晴らしい営業トークをしても、絶対に買っていただけない。「行き先」とは会社、部署、役職、氏名で構成される。「行き先」によってニーズの有無が決まる。また、同じ「行き先」であっても、3ヵ月前には見向きもしなかったお客様が、今だと興味を示すことが多々あり、訪問するタイミングも重要だ。
会社、部署、役職、氏名で構成される「行き先」というのが、ターゲットリストです。柘植氏が言いたいことは、ターゲットリストの良し悪しによって営業の勝敗が決まるということです。よって、売れるターゲットリストをどのように作るか、が重要になってきます。
当コラムでは前々から、訪問先を営業担当者任せにせず、会社や部門としてターゲットリストを用意して訪問先を定める大切さを説いてきました。具体的には、会社や部門の営業方針に沿って、営業担当者がターゲットリストを作成して、リストの中で訪問間隔(例:1ヵ月に1回訪問、3ヵ月に1回訪問など)を設定することで、訪問する優先順位づけを起案します。上司は、担当者が作成したリストを受け取って相談しながらターゲットリストを決定(承認)します。これがあるべき姿なのですが、実際にその通りできている会社ばかりではありません。経営者は「できていないこと」を見つけて、対策を講じなければ、案件が見込み通りに生まれません。
当研究会のウリである営業力診断アンケートを受診していただくと、ターゲットリストに対する営業現場の取り組み具合が「見える化」できます。50問の選択式質問と5問の自由記述質問で構成されている営業力診断の中に、以下のような質問があります。
・訪問すべきお客様が明確になっていますか(ターゲットリストはありますか)?
・ターゲットリスト(お客様)は、上司と相談の上で決定していますか?
・ターゲットリストとなるお客様について、どうやって売上を向上させるか(顧客別の営業方針)が決められていますか?
・会社の今期(1年)の営業方針を理解していますか?
これらは担当者向け設問であり、上司には同じ内容を上司向けの言い方に変えて質問しています。この質問に対して、「当てはまる」から「当てはまらない」まで4段階で回答します。Web上で答えていくのですが、以下のような画面イメージです。
この回答を分析することで、会社や部門の営業方針に沿って、担当者と上司が相談しながらターゲットリストを作成しているかが「見える化」できます。中には、上司は「当てはまる」と回答しながら、担当者は「あまり当てはまらない」と逆の回答となる設問が出てきます。なぜ同じことを質問しているのに上司と担当者とで認識が異なるのか、という点からその理由を探っていくと、問題が見つかることが多々あります。
貴社のターゲットリストづくりはいかがでしょうか。営業力診断アンケートを受診することで、売れるターゲットリストを作る体制ができているかなど、営業課題が明確になります。
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