挨拶回りで今年の抱負を聞き出していますか?

ブログ77号(2021年6月27日発行)で、営業員の顧客訪問件数を紹介しました。1ヵ月の稼働日のうち、会議、伝票処理やクレーム対応などを差し引くと、顧客訪問ができるのは約15日間。1日に5社訪問できたとして、5件/日×15日/月=75件/月となります。ところが、12月と1月だけは違います。商談の有無にかかわらず、取引先への挨拶回りのため、訪問件数がふだんの月の1.5倍から2倍へ増えます。

年末年始のSFA商談記録には「カレンダーを渡して1年のお礼を言う」「年始の挨拶をして市況や価格動向など説明する」という短い文章が並んでいないでしょうか。書く方は数多い訪問先を引っ張り出して同じ文章をコピー&ペーストするだけだし、読む上司の方も変化がないので読み飛ばす。こんなやりとりでは、大切な挨拶回りの効果が後に残りません。

「一年の計は元旦にあり」「初夢」「今年の抱負」という言葉があるほど、私たち日本人は年始を大切にしています。皆さんもそうでしょうが、経営者は必ず、前年を振り返った後で今年1年の抱負や目標を作ります。そして年始行事で社員に説明します。必ずです。できる営業員であれば「今年の御社の抱負は何でしょうか」「今年は何か新しい取り組みをなさいますか」と必ず聞いています。

今は、材料費高騰で採算が悪くなっている、コロナ禍で顧客の行動が変わってしまい売れ行きに変化が出ている、そういう会社が多くないでしょうか。そこで経営者は、高額商品を追加して客単価を上げる、ホームページ経由の問い合わせを増やす、設計変更して安い材料に切り替える、等の戦略を当然考えているはずです。

営業員が聞いているけれど書いてないのなら、大事なことだからSFA商談記録に書き残すように徹底する。営業員が尋ねてないようならば、質問することを徹底させましょう。そうすると、SFA商談記録の書き方が、下図の左から右へ変わります。

年始挨拶のSFA商談記録の書き方

右のような商談記録でお客様の戦略が分かれば、当社は客単価や付加価値を上げる提案をする、割安な材料を提案する、などの「次の一手」が考えられます。1年の途中に「お客様の今年の戦略は?」と尋ねると、お客様は「いきなり何だ!」と怪しみますが、年始であれば自然に話して頂けます。この機会を逃す手はありません。年始挨拶で1つ質問して、SFAに2行書き残すだけです。難易度も高くありません。ぜひ、徹底しましょう。

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