DXの一歩目を踏み出そう!(後編)
前週のコラムで、サイボウズ株式会社のYouTube対談番組に出演した内容を解説しました。これは前編と後編に分かれていて、本コラムでは後編の内容を解説していきます。後編のテーマは、ずばり「中小企業のIT活用」です。
中小企業経営診断シンポジウムで中小企業庁長官賞を2010年度に受賞なさった大石幸紀さん、2021年度に受賞した渡邉卓という対談者2人には共通点があります。それは、自身が行う中小企業向けコンサルティングで、kintone(キントーン)を活用している中小企業診断士です。
IT活用の話になると必ず、デジタル化、DXという言葉がよく出てきます。この2つの違いを説明すると、デジタル化とは(今までのやり方を)デジタルに置き換えることです。例えば、紙の書類を廃止してEXCELなどでデータ化することが該当します。いくらデータ化しても従来通りのやり方で申請したり承認していては、業務の効率化は道半ばです。DXではデジタル化にとどまらず、業務プロセスを見直して、業務の生産性を上げて競争力強化を図る業務プロセス改革です。
例えば、kintone上で、データを登録する、申請する、編集する、変更する、承認するという機能を織り込んで、申請や承認のプロセスを電子化したり、データが自動的に複数のシステムで共有・活用できたりすると、業務負担を大きく軽減できます。
例えば、仕入代金の支払処理作業を細かく分解すると、下図(左側)の「従来のやり方」のようになります。
発注した製品が入荷して請求書が届くと、仕入担当者が請求書の内容を確認して仕入事務員に手渡します。仕入事務員がシステムに入力したら、再び仕入担当者が請求書とシステム入力内容を、たいていはプリントされた紙が添付されているので、それを確認して、上司の机に置かれた承認ボックスに入れます。上司である仕入管理者が承認したら、仕入事務員が経理部署へ申請して・・・というふうに、上図では7つの工程を経てやっと、銀行に振込依頼をして、銀行が振込を実行します。この図には書いていませんが、それぞれの作業に対して書類をプリントする、持っていく、説明する、聞く、捺印する、スキャンする、綴じるという付随作業が発生します。
さて、上図(左側)における本作業はどれでしょうか(本作業と付随作業については売上UPコラム83号をご参照ください)。上図(中央)の「本作業の流れ」のとおり、請求書の内容が正しいか確認する、銀行へ振込依頼する、この2つだけです。kintoneを使えば、上図(右側)の「kintone上での流れ」の通り、請求内容を入力するだけで作業が終わります。
システム上での作業はそれだけなのですが、実際には予算と比べて正しいかどうか、請求や振込の内容に間違いがないかどうか、仕入部と経理部の双方の部署で、担当者と上司とがダブルチェックしています。業務を効率化するには、承認者や承認プロセスを取り決める社内規定を見直して、初めてDXが実現できます。
このような中小企業のIT化、DX化について、真正面から議論しています。約15分間の対談です。
サイボウズ社のYouTube動画(後編) をクリックしてご覧ください。