新規顧客開拓成功のカギはお役立ち情報の充実
最近ご支援を始めた会社でのお話です。テーマはずばり、新規顧客開拓。その会社では、お客様に工場を見学して頂ければ、自慢の技術や生産設備を見てもらえて、新規取引の確率がグッと高まるとのこと。従って、どうやって工場見学に持ち込むか、が克服すべき課題です。
接点がないお客様にどうやってアポをとるのか。初回訪問で会社や商品の説明をした後に、どうやって次回訪問の約束を取り付けるのか。さらに訪問を重ねる中で、どうやれば提案やプレゼンテーションにもちこめるのか。これらを乗り越えて、その先に工場見学があります。
お客様が既存取引先に満足していれば、取引先の変更につながる新規開拓訪問を受ける必要はありません。ですから、営業員にとって新規開拓は成功する確率が低く、ともすれば心が折れてしまいそうになる高難易度の活動です。
では、会社は営業員にどのようなサポートができるのでしょうか。弊社が唱えているのは、お客様に3回会える「営業ネタ(お役立ち情報)」を揃えることです。営業員は訪問するための営業ネタに困っています。営業員が「社長にぜひ聞いて頂きたい情報をお持ちしました」と言って継続訪問できるように、会社は営業ネタを常に情報発信して、営業部隊をバックアップしていきましょう。
筆者がご支援している石油製品卸売業のA社の事例をご紹介します。同社ではガソリン・軽油・重油などの石油製品を運送業者や工場などに卸売りする法人営業を行っています。A社は、石油製品の値動きをビジュアルなグラフで表して、今後の市況予想を文章で書き添えた、A4両面カラーの「マーケットニュース」を月2回制作しています。
創刊号の発行から半年経つと、お客様からお褒めの言葉をかけられるようになり、やがて新規契約の獲得につながりました。先日お訪ねした時に頂戴した最新号は、なんと52号です。月2回ペースで発行しておられますから、2年以上続いています。素晴らしい継続力です。
情報発信を継続するには、情報発信の仕組みづくりが重要です。ポイントを以下の通りまとめました。
「お客様に提供するような情報なんて持ってないよ」と仰る方が多いのですが、企業はその分野の専門家です。お客様にとって価値ある専門知識を持っていますので、社内にある情報の棚卸をお薦めします。
情報発信体制においては、最初は無理のないペースで始めて、慣れたら定期的に情報発信する体制に移行します。そのためにも情報発信の担当者を決めて、会社の各所で得られる情報が、情報発信担当者の手元に集まる仕組みを作りましょう。これらを積み重ねることで、情報発信の仕組みが出来上がり、営業力強化の土台になっていきます。