お客様に会うための営業ツールを充実する
御用聞き営業における売上増加策
「何か御用はないでしょうか」に代表される御用聞き営業は、比較的低単価で発注頻度が多い商材を扱う商社に多い営業スタイルです。お客様の発注タイミングを逃さないために、必然的に訪問件数が増えていきます。しかし、数多く訪問するだけでは、売上を増やせません。
売上UPのためには、次に挙げる行動をお客様にとっていただくことが必要になります。
「当社から購入する取扱品目を増やして頂く」
「競合他社に発注している商材を当社に回して頂く」
そのためには、日頃やりとりする顧客側担当者に加えて、その上司である意思決定権者(このような方がキーパーソンになります)にお会いすることが不可欠です。とは言っても、今まで関係が薄かったキーパーソンとの話題を作るのは、簡単なことではありません。ベテラン営業員はお客様の状況に合わせた話題をたくさん持っているのですが、営業経験が少ない若手営業員は苦労しています。話題を用意できないので、面談アポがなかなかとれないのです。
お客様に会うための営業ツールを充実する
下にお見せする表は、営業の場面に応じて用意すべき営業ツールの例です。
「会社説明」で用いる会社案内や商品カタログは、どの会社も用意しているでしょう。その後の「情報提供」の場面で使う営業ツールはどうでしょうか。自社の強み・お薦め商品・キャンペーンなどの「ウリ」を織り込んだチラシをお渡しして、お客様の興味がどこにあるのか探っていくのですが、この営業ツールを数多く揃えている会社は多くないように思います。
その次の「商品提案」の場面で用いる営業ツール、「商品の詳細検討」「見積提示」など場面々々で、必要になる営業ツールは異なってきます。
新規顧客開拓では、お客様に3回会えるだけの営業ツールを揃える
特に新規顧客開拓は、お客様が既存取引先に満足していれば、取引先の変更につながる新規開拓訪問を受ける必要はありません。ですから、営業員にとって新規開拓は成功する確率が低く、ともすれば心が折れてしまいそうになる高難易度の活動です。では、会社は営業員にどのようなサポートができるのでしょうか。弊社が唱えているのは、お客様に3回会える「営業ツール(営業ネタ)」を揃えることです。
営業員は訪問するための営業ネタに困っています。営業員が「社長にぜひ聞いて頂きたい情報をお持ちしました」と言って継続訪問できるように、会社は営業ネタを常に情報発信して、営業部隊をバックアップしていきましょう。
社内の情報の棚卸から始める
「お客様に提供するような情報なんて持ってないよ」と仰る方が多いのですが、その分野の専門家です。お客様にとって価値ある専門知識を必ず持っていますので、社内に眠っている情報の棚卸をお薦めします。情報発信体制においては、最初は無理のないペースで始めて、慣れたら定期的に情報発信する体制に移行します。
そのためにも情報発信の担当者を決めて、営業員が各所で得てきた情報が、情報発信担当者に集まる仕組みを作りましょう。これらを積み重ねることで、情報発信の仕組みが出来上がり、営業力強化の土台になっていきます。
具体的な方法は拙著「営業力の基本と手法」に詳しく記載しています。