ロールプレイングを実施するとプレゼン資料を進化できる

当コラムの47号から50号で連載したロールプレイング技法を、加工機械メーカーのA社で先週実施しました。A社はその機械カテゴリーでシェア1位なので、A社機械をよくご存じの既存業界のお客様へは、あまり商品説明をしなくても商談を進められます。最新の仕様書で機能を説明して、ショールームでお客様のオペレーターに機械を操作してもらうような営業スタイルでした。

ところが、既存業界の市場が縮小しているため、新たに川上業界に進出することにしました。新しく売り込む川上業界では、A社の加工機械が行う加工を今まで外注しており、A社機械が行う作業工程や優位性を分かっていません。そのような新規市場では、その加工を内製化するメリットを訴求するプレゼンテーションが必要になりますが、既存市場としか付き合ったことがないA社は今まで提案資料を作ったことがなかったのです。作らなくても商談を進められたからです。

A社に出向いた私は、提案書やプレゼン資料の事例をお見せした上で、次の訪問までに提案書を作る宿題をお願いしました。次に訪れた際に「できました」と見せてもらったものは、競合品との仕様比較表でした。新規市場で求められる提案書を分かって頂くにはどうしたらいいだろう。その答えとして実施したのがロールプレイングです。下図のようなロープレ設定表を用意して、いざスタートです。
54.ロープレ設定表例

A社の営業マンが仕様説明したら、お客様の工場長に扮した私は「御社の機械を今まで扱ったことがないので、仰る仕様の詳細を判断できません。すみませんが、時間短縮やコストダウン金額などの形で、当社にとってどんなメリットがあるのかご説明ください」と返しました。A社営業マンは答えに窮しました。はたと気づいたようです。既存市場で通用した資料では、新規市場のお客様に理解してもらえないことを。私が次に訪問するまでに提案書を作り直すことになりました。ロールプレイングには商談技法をレベルアップするだけでなく、商談で使う営業資料を改善するきっかけにもなるのです。

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