御用聞き営業より提案営業が優れているのか?
「何か御用はないでしょうか」に代表される御用聞き営業は、買ってもらえるか分からないのに足しげく通って、非効率だと言われています。待ちから攻めの営業スタイルへ、ということで、提案営業への転換を求める論調がみられますが、読者の皆さんはどう思われますか。
御用聞き営業とは、営業員が定期的に訪問して顧客に御用を聞いて、注文を受けて納品する営業スタイルです。もう片方の提案営業とは、顧客の抱えている問題をヒアリングし、自社の製品・サービスを導入してもらうことで解決方法を提案する営業スタイルのことを言います。さらに、ソリューション営業という言葉もよく聞きますが、顧客がインターネットで商品情報を入手できる現代では、売り手が商品提案だけ行って顧客のソリューション(問題解決)に言及しない営業スタイルは成り立たないので、今時の提案営業とソリューション営業には、大差がないと考えています。
御用聞き営業の例としてよく取り上げられるのは、サザエさんに出てくる三河屋さんです。勝手口から自由に入っていく三河屋さんは、顧客以上に台所事情を深く理解しています。「先月、○○の注文がなかったから持ってきましょうか」と声掛けしていますから、単なる御用聞きではありません。
筆者の経験上、自分がよく理解できていて、何処から買ってもあまり違わない商品だったら御用聞き営業で十分です。提案を受ける時間をかけて、自分が必要としない機能まで売り込まれたら、逆に迷惑です。一方、商品が専門的で買い手がどれを選べばよいか分からない商品は、大概が高単価なのですが、売り手の説明に頼る部分が増えますから、提案営業が成り立つように感じます。御用聞き営業と提案営業の違いをまとめると次のとおりです。
御用聞き営業で成果を上げる秘訣は「お客様が注文しそうなタイミングにお客様の前に居ること」です。これは結構難しくて「何かないでしょうか」と連呼するだけの営業員には、お客様はいずれ会わなくなります。来訪時にちょっと役に立つ情報の提供やお役立ちをすることで、訪問アポがとれて「お客様の前に居ること」ができます。そして、お客様毎に毎日、週に1回、月に1回というように訪問間隔を設定して、訪問間隔を維持しながら訪問することで「お客様が注文しそうなタイミング」を逃さなくなります。そこを極めていけば、御用聞き営業は今後も有力な営業スタイルだと言えます。
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御用聞き営業を磨き直そう