顧客を深く知るために各人がもつ情報を共有する

企業には、1社あたりの取引額が多くないものの数多くの顧客と取引を行う会社と、取引する顧客数は多くないものの、取引額が大きい重点顧客に売上の多くを依存している会社、という両方のタイプがあります。後者の典型が大企業の下請け工場でした。

かつては、順調に成長する大企業顧客の言われる通りに対応し続けることで、自社も成長することができました。しかし、大企業顧客の競争環境が厳しくなり、海外に生産移管したり海外に調達先を変えたりして、下請け工場の事業環境が一変しました。このようにある日突然に、重点顧客の取引を失ったら自社売上が大きく落ち込んでしまいます。逆に、今後成長が見込まれる重点顧客に新しく商品を採用してもらえれば、売上アップにつながります。これからは注文が届くのを待つのではなく、自らが重点顧客に対して積極的に働きかけていくことが大切になります。

法人営業においては重点顧客に対して、経営層、工場、設計部門などの重要職場のキーマンとの人間関係を強めて、情報や協力を得られる関係を築くことがまず大切です。キーマンが一人だけだとその人が別の部署に異動すれば、たちまちキーマン不在の状況に陥ってしまいます。そこでキーマンを複数ピックアップして、当社の誰がそのキーマンと関係強化していくか道筋を描きます。例えば、購買課長に対しては当社営業部長が、技術課長に対しては当社技術開発部長が、専務取締役に対しては当社社長のように、カウンターパート(対応相手)を決めます。これが顧客戦略です。顧客戦略に沿って会社どうし、人間どうしの関係を強化していくと、その会社が抱える困りごとや課題を教えていただけるようになります。その過程で案件が発生したら、その案件の1つ1つの特徴を把握して最適な商談プロセスを進めて、受注に向けて邁進します。こちらが案件戦略です。つまり、重点顧客に対しては、顧客戦略による関係強化と案件戦略による商談活動の両方をバランスよく進める必要があります。

具体的なやり方としては、重点顧客ごとに顧客戦略や案件戦略を一表(これを顧客戦略シート、案件戦略シートといいます)にまとめて共有化します。今までは営業や技術部門のそれぞれの担当者の頭に情報が入っていて、企業の関係者全員に共有化されず、会社として統一した動きがとれていませんでした。情報を共有し、各自の知恵を結集していくのです。各部署のアクションを行動計画表に落とし込み、PDCAを回していくことで、着実な売上アップにつながります。

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