値上げの際には付加価値アップもいっしょに
複数回にわたる値上げ交渉
原材料価格、エネルギー価格や人件費の高騰によって、売上原価が上昇しています。動きが早い企業は2021年の頃から原材料価格の上昇をきっかけに最初の値上げを行いました。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー価格が急上昇して、2回めの値上げをしたことでしょう。そして、多くの会社が今春に賃金を上げましたので、次の値上げが必要な頃ではないでしょうか。
このように、企業はお客様に対して複数回めの値上げ交渉をしなければならない状況にあります。値上げ後もお客様が当社から買い続けてくださるのか、それとも値上げを機に他社に転注してしまわないだろうか。値上げ交渉する営業部署としては悩ましいところです。
付加価値アップの提案
そこで、値上げ交渉の際に、お客様に付加価値アップにつながる提案を同時に行いましょう。自社商品の機能や性能を上げるという売り手の視点でなく、顧客の視点から付加価値アップについて考えてみましょう。
設備に組み込まれる部品を販売する企業を例にとると、次のようなことが顧客にとっての付加価値アップにあたります。
・設置や調整にかかる時間が短くなる
・清掃やメンテナンスの頻度や所要時間が減る
・生産品目を変更する際の段取り替えが早くなる
上記3つはいずれも、お客様社員の作業時間を短くできる、付加価値アップ提案です。人件費を1時間あたり○千円と設定すれば、人件費削減額として訴求できます。
別の視点から考えると、今までより少ない人数で作業が行えます。これは、人手不足に悩む企業にとってもっともうれしい付加価値アップ提案といえるのではないでしょうか。
既存の機能をお客様の視点で見直す
今から付加価値アップにつながるような新機能の開発は間に合いません、と思われるでしょう。しかし、多くの企業は機能やメリットの訴求は得意ですが、「お客様の使い方が具体的にこのように変わります」「それによって作業時間が○○時間短くなります」のような「お客様の視点に立った」提案をあまりしていません。それを強く打ち出せばよいし、それをお客様社員に浸透させるために、勉強会を開催したり説明動画の提供を提案すれば、喜ばれます。
値上げ交渉と付加価値アップ提案をまとめて話すと、値上げ交渉がややこしくなります。そこで、値上げ交渉の議題、付加価値アップ提案の議題というふうに、議題を明確に分けながらも、トータルで値上げを受け容れてもらいやすい交渉を行いましょう。
値上げ交渉に失敗した企業の方々へ
最後に、いまだ値上げを実施できてない企業もおられることと思います。その中には、値上げ交渉したら断られた、値上げ額を削られたなど、値上げ交渉が失敗した企業も多いようです。
値上げ交渉を成功させるためには、原価分析、価格設定、交渉準備の3ステップの事前準備が必要です。詳しくは、以下を読んで値上げ交渉に取り組んでみましょう。