商談記録の書きぶりから営業力がわかる
法人営業力強化のコンサルティングをしていると、お客様先でいろいろな書きぶりの商談記録に出会います。見ただけで、その会社の営業力や営業マネジメントの度合いがわかります。当コラムでは、書く内容の違いから大きく4タイプに分けて、4タイプそれぞれの良い点や問題点に焦点をあてて、紹介していきます。
1日分まとめて記載するタイプです。以前は紙で提出していたのでしょうが、今はサイボウズのようなグループウェアで報告するケースが多いようです。値上げ交渉やキャンペーン紹介など目立った活動があれば記載しますが、それ以外は訪問した会社名の羅列になっています。貴方が上司だった場合、これを読んで当人にどのようにアドバイスしますか。残念ながら、労務管理を兼ねた日報の性格が強く、後から見返しても役立たないので営業情報資産になりません。忙しい営業員の時間を費やして、何のために記録しているのでしょうか。「何か御用はないでしょうか」という御用聞き営業スタイルの会社に多いタイプです。
次は、1つ1つの商談ごとに記載するタイプです。SFA(営業支援システム)を導入していると、それぞれの商談に会社名や面談相手を紐づけて記載することになります。SFAの良い点は顧客ごとに商談記録を集約できるので、その顧客の商談履歴を後々見返すことが可能になります。とはいえ、記載内容は「○○型の値上げ交渉」というふうに自身の行動しか書いてありません。値上げを顧客が受け入れたのか、拒絶したのか、肝心なことが書いてありません。上司が何を求めているのか理解してないと言わざるをえません。
値上げ交渉した結果、つまり相手の反応について記述しています。他社がどこも値上げ要求を出してないという市況もわかりますから、商談記録としては及第点です。しかし、商談の目的である「○○型の値上げ」は達成できてないのに、この顧客に対して次にどうするのか書いてありません。上司は個別に当人に確認する手間が発生します。
商談の目的、結果、次回予定に分けて記載しています。商談の目的「○○型の値上げ」に対して、商談結果が簡潔にまとめられています。目的に対して行動したけれども、実現できてないので、値上げを実現するための次回予定として「1週間後の5月23日に価格を検討し直して再度交渉」と明確にしています。営業員がきっちり商談管理できているレベルです。ここまで書こうとすると、営業員は1件1件の商談に対して目的意識を持ちます。その目的を達成するために、商談の準備を事前に行いますので、商談の成功確率が高まります。
いかがでしょうか。全ての商談とは言いませんが、重要商談については、目的、結果、次回予定を明確にしていくことで、商談の成功率が高まり、結果として営業成績に跳ね返ります。とはいえ、「目的、結果、次回予定を書くように」と指示するだけでは、これは実現できません。営業管理者と営業担当者が日頃からコミュニケーションを図って、次の一手について協議する風土が大事になってきます。