事業計画と経営計画はどう違うのか?

大手書店の「経営戦略」のコーナーにいくと、「事業計画」のジャンルと「経営計画」のジャンルとがあることに気付きます。拙著「事業計画書のつくり方」(あさ出版、2007年発売)は「事業計画」の書棚に置かれていて、一字一句同じタイトル「事業計画書のつくり方」の書籍が5冊から10冊くらい並ぶ激戦区です。それと比べて「経営計画」の書棚は狭いので、書籍の市場規模としては小さい感じがします。

事業計画と経営計画は似ていますが、書棚が分かれているということは違いがあるわけです。読者の皆様はその違いが何なのかおわかりでしょうか。まず、拙著が示す事業計画の構造を図に示します。

事業計画書の構成

第1章でSWOT分析などの手法を使って環境分析を行って、新しい事業の切り口・ヒントを見つけます。次に第2章では、会社の経営理念やビジョンを定めて、新しい事業のコンセプト、つまり事業の枠組みをつくっていきます。

続く第3章では、売上利益、人員や設備投資の計画をつくって目標損益計算書にまとめていきます。数値計画にあたる部分です。最後の第4章で、損益を改善するためにシミュレーションを重ねて、儲かるビジネスモデル、儲かる事業計画に仕上げていきます。他の類似書籍をみても、著者が違っても構成は似ています。

事業計画の目的はいろいろありますが、融資や補助金を申請して資金調達や人材募集する目的が多く、そのゴールは事業開始です。事業計画書はこれから創業する方、これから新たな事業を興す方に向けたものが多い。

もう一方の経営計画は、3年先から5年先を見据えた中期経営計画にかかわる書籍が多い。中堅クラスの企業でも精緻な事業計画を作っているケースはそんなに多くないようなので、事業を継続的に行っている企業が、新たに計画を立ててPDCAを回す目的で経営計画をつくります。書籍の内容は驚くほど事業計画と似通っています。3章の中に、前期までのふりかえり、計画の具体的な施策が入る程度の違いです。

筆者は企業に勤めていた頃に経営計画に長く携わっていた経験があるので、書籍の中身をみると「この著者は自分で経営計画をつくって進捗管理をした経験があるかどうか」すぐわかります。「事業計画書のつくり方」と「経営計画の回し方」はあまりに違いますから、筆者が企業にコンサルティングする場合は「事業計画書の作成ご支援」と「事業計画のPDCA運用ご支援」の2つに分けて提案しています。

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