値上げ交渉事例
値上げ交渉の流れを理解する
原材料価格、エネルギー価格や人件費などあらゆるコストが高騰して、各社が値上げを進めています。その中で、値上げ交渉したら断られた、値上げ額を削られたなど、値上げ交渉に失敗した中小製造業が多く見られます。そこで当研究会では、値上げ交渉の実際の事例を集めて、成功確率が高い値上げ交渉について研究を行っています。
集めた事例企業は、自社で製造するメーカー、製造を外部委託するファブレスメーカー、卸売業者などさまざまです。成功例も失敗例もあります。自社に近い事例を読んで、値上げ交渉の流れを理解しましょう。
食品加工会社の値上げ交渉事例
業界の特性
食品加工会社のA社は農産物からつくる冷凍食材のような業務用食品原料を製造して、加工食品メーカーに納品しています。価格はもちろん重要な要素ですが、顧客の顧客であるスーパーでは欠品が許されませんので、安定供給が強く求められています。
値上げ理由
異常気象にともなう大雨の影響と転作による作付け面積の減少により、原料価格が昨年比で約2倍に高騰したことが一番の値上げ理由です。来年以降に原料価格が例年並みに戻った場合は、価格の見直しを検討する旨を申し添えて値上げ要請しました。
値上げの申入れに対して顧客から言われた言葉
①使用数量を増やすので、値上げ幅を抑えられませんか。
②原料価格が下がったら、値下げしてください。
③円高に振れたら、値下げしてください。 ⇒【ポイント】輸入品だと円高/円安も考慮する
値上げ申入れに対する顧客の言葉はまだまだあります。それに対する応酬話法や交渉結果を含めて「値上げ交渉事例集第1号」をご覧ください。
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値上げ交渉事例集 第1号
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段ボール製造会社の値上げ交渉事例
業界の特性
食品や機械などを梱包する段ボールは、軽い割にかさばる商品特性のため、日本各地に大小さまざまな規模の段ボール製造会社があります。同じものをどこでも作れるため段ボール製造会社を変更するスイッチングコストが低い特徴があります。段ボールの需要家(食品メーカー、機械メーカーなど)は複数の段ボール製造会社から購買することが一般的です。A社がメイン仕入先であればA社主導で決まっていくことが多い反面、メイン仕入先でない場合は、メイン仕入先の交渉結果に引きづられることが多いのも業界特性です。
値上げ理由
製紙会社などから仕入れる段ボール原紙など原材料の値上がりが一番の値上げ理由です。加えて、燃料費(工場を稼働するための燃料、製品を配達するためのトラック燃料)や諸資材の高騰分を価格転嫁させていただきたいと顧客企業に説明しました。
値上げの申入れに対して顧客から言われた言葉
①(購買担当者の)上司に説明するために、値上げの内容を分解して欲しい。
② 主原材料の値上がりを売り手はそのまま受け入れるのか。
③(売り手の)自社努力はないのか。 ⇒【ポイント】主原材料の値上がりに対して出来ることを問われている
値上げ申入れに対する顧客の言葉はまだまだあります。それに対する応酬話法や交渉結果を含めて「値上げ交渉事例集第1号」をご覧ください。
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値上げ交渉事例集 第1号
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プレス部品メーカー)の値上げ交渉「失敗」事例
プレス部品メーカーは、住宅メーカーにプレス部品を販売しています。プレス部品の原価の2/3を占める鋼材価格の高騰にともない、メーカーの営業担当者は住宅メーカーの購買担当者に値上げを申入れました。
業界の特性として、材料費等の変動に応じて、四半期ごとに価格契約する慣習がありますので、次期契約での価格について交渉しています。
顧客に「御社に発注する意味がなくなる」と言われた際は、一瞬止まりました。営業担当者はどう対応したでしょうか。
それに対する応酬話法や交渉結果を含めて「値上げ交渉事例集第2号」をご覧ください。失敗事例こそ多くのヒントが隠れています。
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値上げ交渉事例集 第2号
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