キラリと光る営業行動から「売れる仕組み」を見つけ出す
筆者が継続支援している卸小売業のB社は、今春にサイボウズ社のkintoneを土台に営業支援システムSFAを導入して、有効に活用しておられます。SFAを閲覧するためのアカウントを頂戴している筆者は、或る目的があって営業員全員のここ半年間の商談記録を読破しました。かなり時間がかかったのですが、そのお陰で営業員一人ひとりの営業スタイルを理解することができました。
B社では、契約を交わした法人客が毎月使用する分の従量料金が売上になります。携帯電話、有料テレビ放送、動画配信サービス、電気、ガスなどが該当します。B社は昨年から或る新商品を取り扱い始めたのですが、新商品の契約件数が飛び抜けて多いのがCさんです。どの会社もそうですが、全員が積極的に新商品に取り組んでいるのでなく、新商品をPRするものの主力商品の営業を重視する人が大半であり、営業スタイルの違いはSFAを読めばすぐわかります。
B社の新商品営業プロセスは、既存客を定期訪問する中で新商品を説明して、好反応だったら新商品担当者と同行訪問して費用シミュレーションや使用条件などを提示して、ご納得頂ければ契約に進む流れです。
筆者が先週B社を訪問した際、会議終了後のCさんに「新商品の契約件数がすごいですね」と声を掛けました。2年前に中途入社したCさんは、主力商品では先輩営業員に勝てないから、新商品の拡販に積極的に取り組んでいるとのご返事。さらに次のような会話になりました。
Cさん「新商品担当者に同行してもらって失注すると、申し訳ないんです」(注)上記プロセスNo.2
筆者 「そんな経験を踏まえて、何か工夫していることがありますか?」
Cさん「件数を重ねると、契約する/しないかが最初に説明した時の反応からわかるようになりました」
筆者 「もっと具体的に教えて頂けますか?」
Cさん「契約先の切替手続きをしてでも、毎月少しずつの費用削減を大事だと考えるかどうかは、お客様によって違います。ここを見極めています。」
今春に携帯大手3社から格安スマホが発売された時、読者の皆さんは切り替えを検討したでしょうか。この反応とCさんの見極め方法がよく似ています。B社を例にとると「新商品の営業プロセスと見極め方」を次のようにまとめることができます。
ここで大事なことは次の2点です。
1.一営業員のキラリと光る「良い事例」から「望ましい営業行動」を引き出すこと。
2.誰でも真似できる「売れる仕組み」(例:上の表)に整えた上で、全営業員に水平展開すること。
これができれば「あの人だから売れる」属人的営業組織から「誰もが売れる」強い営業組織へ変われます。これをお手伝いすることが、弊社の強みであり、お客様に奉仕できるサービスです。