案件が見積りから始まるのは良いことか?

このコラムで折に触れてご紹介しているのが、4階層からなる営業プロセス(下図)です。定期的に訪問して情報提供を重ねることによって、興味を持ったお客様から「もっと詳しく教えてもらえますか」という反応を引き出せれば、引合という案件(引合案件)が発生します。引合案件先に提案やプレゼンテーションを行うと「提案案件」にランクアップします。

さらに見積や取引条件を提示して、お客様が具体的に検討し始めたら「見積案件」になります。見積案件先に対してクロージングを行い、発注していただいて初めて「受注案件」になります。受注案件=売上になるわけです。

売上UPピラミッド基本形

同じオーナー傘下にある印刷会社2社に対して、半年強にわたって事業計画書作成講座を開催しておりました。最終講座の場でこの営業プロセスを2社の営業幹部の方にお見せしました。一方の会社の役員が首をかしげて「弊社の場合、いきなり幾らになるか?という見積依頼が来ますから、このプロセスのようになりません」。もう一方の兄弟会社の部長も「弊社も同じです。見積依頼から案件が始まります」。

なぜそうなるのでしょうか。答えは簡単です。印刷物の企画段階からお客様に入り込めてないからです。

イベント告知チラシを例にとって、印刷物制作の流れを説明します。お客様(チラシの発注者)はイベントの来場者が少ない、のような困りごとを起点に、来場を促進する企画を考えます。来場促進企画にもとづいて、ホームページでの告知、チラシの配布など媒体の制作に展開します。その後に、ホームページは社内で原稿を制作して、チラシは印刷会社へ見積依頼します。

先日お会いした別の印刷会社は、自社のことを「お客様の売上アップに貢献するための販促物を企画・制作する会社」と規定しておられます。お客様企業の数をあまり広げずに、1社1社から困りごとを聞き出して、一緒に考えるところから取り組んでおられるそうです。

そういう会社の場合、企画づくりから案件に関与しているのですから、印刷物を別の会社に発注されることはまずありません。自社をどのように規定するか、お客様に対してどのようなお役立ちをするか。深く考えていただきたいテーマです。

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