重点顧客の組織図を入手して関係を見える化する

過去数回にわたってご紹介した「顧客戦略シート」は、顧客特有の事情をつかみ、法人営業においてお客様と長期的な強い関係づくりを描いていく考え方です。その背景には、多くの利害関係者が存在するという、法人営業の特徴があります。

工場で使う生産設備の取引を例にとると、価格交渉や購買手続きを行う購買担当者が顧客企業の窓口になりますが、その上司には購買課長がいます。そのほかにも多くの利害関係者が存在します。競合設備と比較して仕様や技術レベルを評価する設計者の意見は、購買担当者にとって無視できません。さらに生産設備を設置する工場として、工場長や製造課長は製造コストに加えて、使い勝手や歩留まりの点から自部門の希望を主張します。設備投資(当設備の購入可否)を決議する取締役会で一人でも反対意見を述べる役員がいれば、決裁がスムーズに進められません。会社にとって重要な購入品であるほど、利害関係者が増えていくのが法人営業です。営業員は顧客企業の関係者をリストアップし、その中からキーパーソン(大概は複数名存在します)を選び出し、各人と良好な関係を築くという、気の長い作業を行うのです。

そこでお薦めの作業方法をご紹介します。お客様の人間関係を理解するために、組織図を手に入れて、関係者一覧表をつくります。組織図が入手できなければ、無人受付に電話番号表が置いてありますから、その情報を元に組織図を作ります。当社設備の導入に対して賛成派、反対派、中立派と分けて、キーパーソンの横に○×△の印をつけます。

階層別アプローチ

上図のようにまとめると、機械設計主任と技術部長は賛成派だが、購買課長という設備導入を決めるキーパーソンが反対派であること、最終決定者である社長のスタンスが分からないこと、等が「見える化」できます。組織図の要所に?や△が多く残っていますから、関係づくりがまだまだ必要なことが一目瞭然です。

営業支援システムSFAを使っている企業であれば、顧客情報欄にパーソン情報を登録できますので、組織図の代わりにSFA内に同様に展開するのが効果的です。

当社側に社長(経営層)、部課長(管理層)、営業員(担当者)の階層があるように、お客様も同様に階層があります。若手の営業員は先方の購買担当者と顔馴染みになれても、購買課長には話ができません。そこで、上司である営業課長が購買課長と接点をもつようにします。当社社長が先方社長と会食やゴルフに行くなど、階層別にカウンターパート(対等の立場にある対応相手)を決めて、また定期的にアプローチして、会社どうしの人間関係を強めることが大切です。

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