自社商品を評価するお客様を見つけよう
或る集まりで、とてもエネルギッシュな創業社長にお会いしました。差別化された際立った商品を持っていますが、市場規模が大きい戦略市場で売上を増やせない悩みを抱えておられます。見るからに営業力がありそうな社長自らがお客様訪問をしていますから、提案力やクロージング力は問題なさそうです。では何が問題なのでしょうか。そういう会社は多いと思いますので、ヒントになるお話をしていきます。
「価格で負けました」。営業マンに注文がとれなかった理由を尋ねたら、一番に出てくる理由です。特に利ザヤを大事に考える商社や代理店は、価格を優先して選びがちです。しかし、その先の客であるエンドユーザーは、必ずしも一番安い価格を求めるわけではありません。もちろん価格が安ければ越したことはないですが、価格よりも優先するものがあります。
高精度がウリの工作機械メーカーA社を例にとります。例えば金属加工業のB社にとって、自社のキャッチフレーズが「加工精度なら(他社に)負けません」としましょう。加工精度があまり高くない工作機械を使って歩留まり(良品率)が低ければ、お客様から返品されてしまって評判は落ちるし、他のお客様からの受注も減ってしまいます。そこでB社は、高性能な工作機械を導入し、作業者の教育にお金をかけることで、生産コストが少し割高になっても、加工精度が他社に負けない金属部品を作ろうとします。この加工精度こそB社が工作機械を選ぶ際の選定要因となります。
精度があまり求められないが低コストの部品を量産したいC社のような金属加工業者ももちろん多くあります。工作機械メーカーA社としては、コスト最優先のC社に売り込むより、高精度を求めるB社に売り込んだ方が成約の確率は高まります。
自社の強み、お客様から見ると購買選定要因は、性能、生産能力、スピード、外形サイズ、デザイン、商品価格、ランニングコスト(消費電力、修理代)、アフターサービス力などいろいろあります。しかし、自社の強みが生きるターゲットを選定できてない法人営業企業が多くあります。
我々が手掛ける営業力診断アンケートでは「全社営業方針に沿った営業方針の構築ができているか」「強みが生きるターゲット市場・顧客を選定できているか」のような戦略力で評価される内容です。自社で対策を打とうにも、自身の強みはなかなか客観的に評価できないものです。
だからこそ、営業力診断アンケートで営業課題を可視化した上で、自社の強みを明確にしていきましょう。強みが生きるターゲット市場・顧客を選定することが、営業力強化、そして売上UPにつながります。