代理店・販売店の生き残り策

BtoB取引において、モノタロウに代表される巨大なネット通販業者が伸びています。ユーザー企業(工場など)は馴染みの販売店を呼ばなくても、パソコンの画面から欲しいものを必要数だけ発注すれば、数日後に手元に届く時代になりました。それによって、代理店、そして代理店から仕入れてユーザー企業に納める販売店が苦境に立たされています。それでは、このまま衰退していくのでしょうか。

筆者は、販売店がもつ強みや機能を研ぎ澄ませば、十分に生き残れると考えています。苦境打開の答えは、ユーザー現場の困りごと解決にあります。

例えば、工場の或る生産工程で不具合が発生した場合を想定しましょう。ネット通販で問題解決するには、次のことを自前で行う能力が必要です。

1.不具合原因を特定できること
2.交換が必要と判断したら、その部品の型番を特定して、正しく注文できること
3.手元に届いた代替品を自分たちで取り付けて、求められる状態を復元できること

知識と経験に裏打ちされた熟練工の方であれば、上記3項を自分たちでこなせるでしょう。いうなれば、DIY(ドゥ・イット・ユアセルフ)です。しかし、熟練工が少なくなった今、呼べばすぐ来てくれる、目の前で起きている不具合を直接解決してくれる、コンシェルジェのような販売店が求められています。工場の安定稼働を重視する運営管理者からすれば、部品の安さに代えられない重要なサービスです。

例えば食品製造工場であれば、安全や衛生に対する規格や要求レベルが格段に高まっています。食品衛生事故を未然に防ぐために、工場内の部品にも汎用品でなく、その業界向け専用品を取り付ける傾向が強まっています。販売店の差別的優位性は、業界で求められる最新の規格や要求レベルを熟知して、メーカーの品揃えの中から最適なものを選べることです。もっと言うと、単に選んで納品するだけでは生き残れません。正しく取り付けられて安定稼働するところまで確認する。次に、工場に設置された部品の型番や装着時期を全て把握した上で、交換時期を決めて計画的に交換を行います。つまり、トラブルの芽を事前に摘んで予防保全する、ユーザー現場の安定稼働保証サービスです。

下の図は、商品の仕組みを3要素に分けたものです。これが今回のお話に関係するのでご紹介します。中心にある「中核的な便益」、その外側にある「基本的な機能」では競合他社との差別化が難しくなっていますので、「付随的なサービス」を際立たせることが重要になっています。前述の「安定稼働保証サービス」は、品質保証とアフターサービスを際立たせた事例です。

商品の仕組み3要素

安定稼働保証サービスは、ネット通販企業には到底できないことです。販売店がその強みを際立たせて、顧客の困りごと解決に寄り添う。そうすれば、ユーザー現場にとって販売店は欠くべからざる重要なパートナーになります。販売店がそうなれれば、販売店を後方から支援する代理店も、共同パートナーになり得ます。

ネット通販に注文が流れずに販売店に必ずリピート注文が舞い込む「販売店リピート100%」を実現できます。代理店、販売店の皆さん、将来を悲観せず、自らを変革して実現していきましょう。

関連記事

  1. マッチングイベントによる新規顧客開拓
  2. 値上げの申入れに対して顧客から言われる言葉
  3. 営業プロセスの成果を案件ランクに展開する
  4. マーケットニュースによる継続的な情報提供 新規開拓には最低3回訪問できるネタを用意する
  5. 営業部門の役割 営業の仕事は受注だけではない
  6. 経営環境の概念 マクロ環境変化が自社業界にどのように影響するのか?
  7. 売上UPピラミッド 営業活動をプロセスに分けて管理する
  8. kintoneを使ったSFA_顧客管理画面 ターゲットリストを上司と担当者が共有する
PAGE TOP