顧客の戦略の違いを見分ける
4月26日の当コラムで、自社商品を評価してくださるお客様を見つける重要性を強調しました。自社商品の特長と強みを正しく理解したら、その強みにふさわしい、言い換えると自社の強みを受け入れてくださるターゲット市場や顧客層(セグメント)を決めていきます。
たとえば、寸法精度が高くて耐久性のあるプラスチック成型品が得意な成型工場の場合。いまは低価格輸入品と競合する玩具や電化製品のメーカーに納入しているので、取引数量は多い一方で低採算に苦しんでいます。一方、医療・介護機器メーカーだと生産数量は少ないですが、寸法精度や耐久性を重視してもらえ、今後の市場成長が期待できる分野です。後者のような客を選んで拡販を図っていくことが自社の営業方針に合致しています。
そのためにはまず、市場規模や成長性、顧客ニーズなどの顧客分析をしていきます。そこで把握・整理したい情報は、以下の4つです。
1. 主な顧客の企業規模・成長性(売上高、従業員数、売上高成長率)
2. 取扱商品と主な対象業界
3. 顧客の購入品に占める当社品が占める割合(顧客シェア)
4. 業界の動向、今後見込まれる変化
1項であれば、自社の上位数十社の顧客を挙げます。彼らが属している業界や業種を特定して、業界調査をします。前述の例でいうと、玩具や電化製品のメーカーが主要顧客であり、玩具業界、電化製品業界に属しています。さらに調査を進めると、AV分野では量的に勝る中国・アジアからの製品輸入が多く、国内メーカーは白物家電に商機を見出そうとしていることが分かってきます。これらを把握・整理するための問いかけをまとめましたので、これを切り口に調査しましょう。