営業方針を担当者に徹底する

今から1年前、問題山積だった或るメーカーの営業部が、営業力診断アンケートを実施しました。そこで判明した問題点を1つ1つ改善していき、営業管理者は手応えを感じていました。そこで改善具合を判断するために、前回診断からちょうど1年後に、もう一度営業力診断アンケートを受けました。いわば営業力の「定期健診」です。

営業力診断アンケートは戦略力、計画力、行動力、商談力、管理力の5つの指標に沿って、50の選択式回答と5つの自由記述回答から診断します。「ターゲットとなるお客様についてどうやって売上を向上させるか(顧客別の営業方針)を決めていますか」という戦略力を問う問4における診断結果をご紹介します。

69.2 顧客別営業方針のアンケート結果グラフ

青い2本のグラフが今回結果で、上が営業管理者の回答平均で、下が営業担当者の回答平均です。赤いグラフは1年前の結果です。戦略力の9つの設問の平均値を表す「戦略力全体」と比べて、問4は良い結果のように見えます。管理者は、1年前は担当者より低かったのですが、この1年の伸びが目覚ましく、今回は管理者全員が「あてはまる」と回答しています。営業部全体の営業方針、顧客別の営業方針を担当者としっかり話し合っていることに、自信をもっている表れです。

一方の担当者は、赤い丸で囲ったとおり、1年前からの変化は少なく、今回は「やや当てはまる」の位置にあります。当てはまる、やや当てはまる、あまり当てはまらない、当てはまらないの4択から選ぶのですが、読者の皆さんはどんな時に「やや当てはまる」を選びますか。自信をもって「当てはまる」と言い切れないけれど「やや当てはまらない」とも言えず、どちらかといえば出来ている状態ではないでしょうか。

管理者は営業方針に自信を持っているのに、担当者はなぜ自信をもって当てはまると答えられないのか。管理者向け診断結果報告会で、筆者は投げかけました。管理者の一人が思い当たったことを発言したことを契機に、意見がどんどん出て、最後には皆さんが納得しました。まとめていうと、管理者は1年前に比べて営業方針を明確にして担当者に伝えたつもりだったのですが、担当者への伝え方に問題があったのです。例えば、営業部全員で作成した来期計画案が会社上層部から修正を求められることはどの会社でもよくあることです。最終的な営業方針を担当者に説明してなかったり、新しい期の始まりに期初方針説明会を開催してなかったりして、担当者はどれが最終的な営業方針なのか理解できてなかったのです。

このように一見何気ない回答結果から、本質に切り込めるのが営業力診断アンケートです。
ご興味のある方は、以下サイトをご覧ください。
営業力診断アンケート

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