重点顧客の基本情報を一覧表にまとめて「見える化」する
前回コラムで、重点顧客に対しては経営層、工場、設計部門などの重要職場のキーマンとの人間関係を強めて、情報や協力を得られる関係を築くことが大切だと説明しました。しかし、会社一丸で重点顧客との関係づくりに取り組もうにも、顧客情報が社内で共有化されていないために、スムーズに進まないケースがよくあります。営業や技術の担当者が重点顧客の情報を熱心に集めてSFAや技術日報に記録していても、その顧客の情報が相互に関連付けられずに細切れに保管されていれば、会社として分析して活用できる顧客情報とは言えません。
法人営業において有効な手法として、A3横サイズの「顧客戦略シート」をご提案します。重点顧客の基本情報を一覧表にまとめて「見える化」することがこの場合、とても有効です。
一番上には、重点顧客の強みと弱みを列記します。次に、重点顧客の主要仕入先と主要得意先を記載します。重点顧客の強みや得意先が分かれば、次に主要製品とその特徴をわかる範囲で記載します。それぞれの商品で「中堅化粧品メーカーに強い」「大企業から中小企業まで幅広く対応」「或るカテゴリーでシェア●%を占める」などと書き込みます。取引がない状態だとわからない部分が多いですが、不確かなことは「仮説」と添えて書くようにします。こうした書く作業を通じて「知っていること」と「知らないこと」に分けられ、「知らないこと」や「仮説」を頭の片隅に入れながら、営業活動の中で情報収集していきます。それらの情報が新たに分かれば、顧客戦略シートに追記していきます。
これら情報をまとめると、顧客はA商品が競争力を失いつつあるので●●のような技術的特徴を付加して差別化を狙っている、ということが読めてきます。このように顧客の立場に立って考えると、顧客が次にどういう行動に出てくるか予想しやすくなり、先んじた営業活動ができます。A3サイズの顧客戦略シートにはその他にも多くの情報を書き込むのですが、その冒頭部分は下のようになっています。