営業プロセスはエース営業マンが知っている
自社の営業プロセスを「見える化」したいというニーズは、経営者に強くあります。筆者のようなコンサルタントがお客様先で行うやり方がヒントになると思いますので、ご紹介します。
法人営業は、業界や取扱商品がさまざまですが、その営業プロセスは驚くほど似通っています。当研究会にはさまざまな業種を知る中小企業診断士が集っていますが、この知識を結集してみた結果、当コラムで紹介した4段階の営業プロセスがほぼ当てはまることがわかりました。これを基本形にして、それぞれの会社に適した営業プロセスを追加したり変更していくのが近道です。
具体的には、営業マネージャーや担当者に集まってもらい、ヒアリングを行います。エース級の営業マンには、最近受注した案件を例に挙げて聞き取り調査を実施します。「どんなきっかけで商談に入れたのですか?」と聞くと、引合い入手に至る種まきプロセスが分かります。クロージング前に実施した行動を知るために「他社も参戦していたと思うのですが何か特別な提案をしたのですか?」という質問を投げかけます。
たとえば印刷会社の営業マンであれば「印刷物のサイズを工夫して、1枚の紙に多くの面付けができる提案をしました」というふうに、具体的な営業行動を語ります。しかしこのままでは、他の営業マンにも通じるヒントになりません。ここでは「抽象化」というスキルを使うことがポイントです。「元の仕様だと1枚の紙から6冊印刷していましたが、当社は同じ紙サイズから8冊印刷できること、つまりコストダウン提案をして受注を勝ち取ったのですね」と言い換えます。
さらに「他の方で、コストダウンのほかにデザインや納期短縮など別のやり方を提案して、商談を勝ち取った経験はありませんか」と投げかけて、成功事例を集めていきます。
多くの営業現場では成功事例が共有されていませんし、特に成約に至ったプロセスが共有されていません。
社長の前で喋ってもらって「すごいですね」と拍手すると、本人は照れ臭そうですが満更でもない表情を浮かべます。あまり褒められてないので照れるのですが、やはり自分の成果を認めてもらいたいのは本能です。
このようにして、営業マンの成功パターンや営業プロセスがわかります。これを数人続けていくと、共通するパターンが発見できて、その会社なりの営業プロセス・営業行動のひな形を作り上げることが可能になります。
手伝ってほしい、という会社さんは、ぜひ当研究会までご相談ください。