新規開拓には最低3回訪問できるネタを用意する
新規開拓訪問はどの営業員にとってもつらい活動です。会社が新規顧客開拓の目標を掲げるから行動するものの、アポがとりづらいし、訪問しても商談のきっかけがなかなかつかめません。新規顧客開拓とは、同業他社と取引している会社に折衝して取引先を自社へ切り替えていただく活動です。そのためには「価格がこれくらい下がります」「発注から納品までの期間が○日短くなります」のように明確かつ比較しやすい取引条件を提示しないと、なかなか相手に決心していただけません。とは言え、相手が現在の取引先に満足していれば、当社の働きかけに決して振り向きません。相手が取引先に何かしら満足していないから、代わりの取引先候補を探すのです。その糸口を探すのが、営業員が最も苦労する「新規顧客開拓の初期段階」です。
弊社のウリである営業力診断アンケートの中には、新規開拓訪問に限りませんが、十分な件数の訪問ができない理由を問う設問があります。
営業力診断アンケートを受診する企業は「いろいろと頑張っているけど結果が出ない」会社が多いので、どの営業員も忙しい状況です。したがって「4:人員数不足」「5:他の業務が忙しくて時間が無い」が多くなります。確かに、量の面ではそうなのですが、質の面では「2:行くネタが無い」が多くなります。過去に訪問したことはある会社に再訪問したいけれども、訪問するきっかけがつかめない状態にあります。
前述の営業力診断アンケートの別の設問では、会社がどのような営業ツール(訪問ネタ)を用意しているか問うています。
回答の選択肢の中で「1:提案書ひな型」「7:納入事例集」「お客様の声」は新規開拓訪問で不可欠の訪問ネタです。読者の皆様の会社では用意しておられるでしょうか。もっと言うと、1種類では足りません。商品や業態別に何種類も用意していれば、1回目の訪問で糸口がつかめなくても、2回目、3回目の訪問ネタになるのですが、これらが充実していない会社が多いようです。ちなみに「4:競合との比較表」「5:コストメリット計算書」は品質や機能で選ばれる商品や業態であれば、十分に新規開拓訪問の訪問ネタになり得ます。
令和3年度中小企業経営診断シンポジウムで中小企業庁長官賞を受賞した石油製品卸売業の事例では「マーケットニュース」が訪問ネタにあたります。もともとはお客様への情報提供を充実させるために作成したものですが、新規開拓訪問での訪問ネタに加えて、昨年後半からの石油の値上げ局面では、石油製品の価格推移や背景を説明する際に役立ちました。
この会社の素晴らしい点は、このマーケットニュースを1年以上にわたって月2回発行し続けていることです。これは簡単なことではありません。そのための仕組みとしてまず、制作担当者を決めておられます。その制作担当者は、石油元卸会社などいろいろな取引先や情報源から情報を集める活動に多大な時間を費やしています。次に、筆者も出席する毎月の営業革新会議の中で時間をとって、制作担当者が最新号を配布してみんなで読み合わせをして、内容説明や改善アイデアのやりとりを続けています。
新規開拓訪問を手掛ける営業員は、お客様からの「次回は何しに来られるの? こっちは忙しい中で時間を割くのだから、弊社に役立つ情報を持ってきてくださいね」という厳しい視線を浴びています。新規開拓訪問は営業員の努力でなんとかしなさい、ではダメです。会社として下記3つの仕組みをつくり上げることが重要です。
1.営業ツール(訪問ネタ)を分厚くつくる。それを継続できる体制を整える。
2.営業会議やロープレを通して、営業員が営業ツールを話せる(使いこなせる)状態にする。
3.新規ターゲットリストを用意して、営業員が訪問目標を必達する。
弊社ではロープレのセミナーや研修も行っています。
ご要望の方は、売上UP研ホームページの右上「お問い合わせ」からご連絡ください。