個人営業と比べてみて、法人営業の特徴を理解する
ここまで数話連続して営業プロセスについて説明してきました。少し話題を変えて、本コラムが対象とする法人営業について、その特徴を探っていきます。
法人営業とは、法人(企業)が法人(企業)顧客に営業するスタイルで、BtoBともいいます。法人営業の対義語が、法人が個人客へ営業する個人営業(BtoC)です。その違いを理解すると、法人営業の特徴がよくわかります。
個人取引の場合は、自分へのご褒美やボーナスが多く出たことをきっかけにして、マインド(気分)次第で大人買いすることがあります(後で財布を持つ奥さんから怒られることもたびたびです)。一方、法人営業では予め予算を決めておき、その予算の額や時期に合わせて商談が進みます。そもそも予算がないと大きな購入ができません。
購買に関与する人数にも違いがあります。企業では経営者の一存で決定することは少なく、多くの利害関係者が関与します。設備購入であれば、価格交渉や購買手続きを行う購買担当者、競合品と比べて仕様や技術レベルが適切かどうか評価する技術者、設備を動かす工場関係者、その設備で作った商品を売る営業関係者など、多くの利害関係者が出てきて購買決定に関与します。
その中から購買決定に強い影響力をもつキーマンを特定して人間関係を構築するのですが、これが並大抵の苦労ではなく長い時間がかかります。また、利害関係者それぞれの要求を満たすために、商品や技術に関する情報、見積や取引条件など、充実した情報提供や丁寧な商談プロセスが要求される傾向があります。多数の関係者が関係するからこそ、誰もが納得できる仕様や価格、必要性を明確にしないといけません。彼らが時間をかけて合議して決めていくので、いきなり注文が舞い込むことはめったにありません。
だからこそ、営業プロセスが大切になります。