訪問不足は「時間がない」からですか?
或るメーカーの幹部とオンライン会議をした際の一コマをご紹介します。その会社の営業部では、訪問不足の対策として、業務時間を短縮するための改善活動を推進しているとのこと。直感として「本当かなあ」と感じました。確かに時間不足は訪問できない大きな理由の1つですが(どの会社も同じ問題を抱えています)、時間不足が解消されたら訪問回数が急増するかというと、そんなことはありません。仮にそうならば、同じ会社で優秀営業員とそうでない営業員の営業成績の違いがどこから来るのか、説明がつきません。
弊社のウリである営業力診断アンケートの中には、十分な件数の訪問ができない理由を問う設問があります。
営業力診断アンケートを受診する企業は「いろいろと頑張っているけど結果が出ない」会社が多いので、「4:人員数不足」「5:他の業務が忙しくて時間が無い」が多くなります。量の面ではそうなのですが、質の面では「2:行くネタが無い」が多い傾向です。
初回訪問では会社・商品紹介が訪問ネタになりますが、定期的に訪問を重ねている会社であれば、訪問ネタが尽きてしまいます。アポどりの電話でお客様から「ご来社の議題はなんでしょうか」と尋ねられると返す言葉がないので、アポどりの電話をかけられないのです。
つい最近、営業力診断アンケートを受けた卸売業の会社(前述の会社とは違います)では、営業担当者12名の上位2つの回答は以下の通りでした(※複数回答式)。
6名:行くネタがない
6名:他の業務が忙しくて時間が無い
この2つの回答項目に対して、上司にあたる営業管理者3名は以下の通り回答しています。
0名:行くネタがない
3名:他の業務が忙しくて時間が無い
担当者の半数が「行くネタがない」と回答するのに、管理者は誰もそう思っていないのです。問題は明らかです。
営業員は、「次回は何しに来られるの? こっちは忙しい中で時間を割くのだから、弊社に役立つ情報があるならどうぞ」という厳しい視線をお客様から浴びています。訪問件数の維持・増加を営業員の努力でなんとかしなさい、ではダメです。行くネタがない対策として、会社として、商品勉強会を開く、提案書などの営業ツールを揃えるなど、営業員がお客様に提供する情報を増やす取り組みが欠かせません。