社員の気持ちに火をつける
ファクトリエというファッションブランドをご存じでしょうか。アパレル生産の多くが海外に移転した中、厳選した約50社の国産アパレル工場とタッグを組んで、メイドインジャパンのアパレルを販売しています。山田敏夫社長が出演したテレビ番組「カンブリア宮殿」をご覧になられた読者もおられると思います。最近、山田社長の講演を聴く機会があり、弊社が行う業務改善コンサルティングと似ている点を感じて、とても共感しました。
山田社長は、苦境に立たされている国内アパレル工場を自ら探して訪れています。倒産や廃業が相次ぐ中でも、息子が後を継ぐ会社があるそうです。共通項は「父ちゃんが楽しそうにしている」。つまり、会社を楽しい状態にすることが大事であり、会社の内側が燃えるように、仕掛けているとのこと。
そのための具体策の1つをご紹介します。契約した工場では今まで自宅に帰って昼食を食べていたところを、週3日間だけ会社で昼食を食べてもらいます。ファクトリエのメルマガを読んでもらい、ファッション誌をめくりながら、自分たちが作りたい服を自分たちで選び、つくり、そしてファクトリエが売る。自分たちがつくった服が売れると何が起こるのでしょうか。そうです、「工場のおばちゃんがハイタッチする」光景が現れます。そこまで行けば「後はOK!」だとか。
この流れは、弊社が推進する業務改善活動と実に似ています。下図「改善活動プロセス」の左上のテーマ選定、現状把握から右回転に業務改善活動を進めます。Step6まで進んで1回転して「○時間を短縮できた」「コストを○円削減できた」ことをデータで証明できると、社員は自信をつけます。今まで決められたことを当たり前にやってきた社員が、自分たちでやり方を変えて結果が出るのは、実に異次元の体験なのです。ここまでくると、山田社長がいう「後はOK!」です。自分たちで自走するようになります。
では、我々外部のコンサルタントの役割は何なのでしょうか。弊社は最初に、他社の業務改善活動事例を紹介して、ムダとは何か、どうやって業務改善活動を行うのか、写真や図表をふんだんにお見せしながら理解していただきます。(8月7日発行のブログ83号に詳しく書いています)。言い方を変えると、方向性を示し、やり方を見せて、動機づけを行っています。つまり「静止状態から動き出す」ためのお手伝いをします。
もう1つ重要なことは、活動テーマの選び方です。やる気になった現場は、重要かつ難易度が高いテーマを選びがちなのですが、活動が大変で1周しないうちに挫折してしまいます。せっかく動き出したのに挫折してしまうと、二度と挑戦しなくなります。そこで、ほどよい難易度と作業量で成功体験ができるテーマを一緒に選びます。
弊社のお役立ちは「営業力強化を通じた売上UP」です。日々忙しい営業現場が、業務改善活動によって時間を捻出し、やる気になってもらう。そういう状態になって初めて、営業力強化に踏み出す下地が整うのです。