営業力強化の土台は情報発信の仕組みづくり

企業が情報発信を続ける効果は、何と言っても営業員がお客様を訪問しやすくなることです。営業員は毎月継続して訪問するための「営業ネタ」に困っています。営業員が「社長にぜひ聞いて頂きたい情報をお持ちしました」と言って継続訪問できるように、企業は営業ネタを常に情報発信して、営業部隊をバックアップしていきましょう。

筆者がご支援している石油製品卸売業のA社の事例をご紹介します。同社ではガソリン・灯油・軽油などの石油製品を運送業者や石油販売店などに卸売りする法人営業を行っています。ここで質問です。石油製品の顧客企業が欲する情報は何でしょうか。

ガソリンを給油しているドライバーの方はお分かりでしょうが、石油製品は市況によって価格が変動します。価格のトレンドを理解していれば、より良いタイミングで購入することができます。そこでA社は、石油製品の値動きをビジュアルなグラフで表して、今後の市況予想を文章で書き添えて、情報発信し続けています。創刊号発行から半年経つと、月2回ペースの情報発信に慣れ、お客様からお褒めの言葉をかけられるようになりました。

実はこのブログ「売上UPコラム」も、2020年1月に創刊して今回が82号です。毎週継続することは傍から見るより大変な作業なのですが、毎週欠かさすに情報発信することに価値があります。最初は「なんか新しいことを始めたな」と冷ややかな目で見ていたお客様が、情報提供を重ねることでお客様の潜在意識に徐々に積み上がり、やがて情報を待ち遠しく感じるようになります。それを信じて続けています。

情報発信を継続するには、情報発信の仕組みづくりが重要です。ポイントを以下の通りまとめました。

82.情報発信の仕組みづくり

「お客様に提供するような情報なんて持ってないよ」と仰る方が多いのですが、企業はその分野の専門家です。お客様にとって価値ある専門知識を持っていますので、社内にある情報の棚卸をお薦めします。魚市場の仲買人は、目利きの力で魚の良し悪しを判断して、高級すし店や大衆酒場など、お客様が求めるグレードやニーズに合わせてお薦めしています。企業も、目利きの力で情報を選り分けて、お客様に分かる言葉に翻訳してお届けしましょう。

情報発信体制においては、最初は無理のないペースで始めて、慣れたら定期的に、決めてペースで情報発信する体制に移行します。そのためにも情報発信の担当者を決めて、会社の各所で得られる情報が、情報発信担当者の手元に集まる仕組みを作りましょう。これらを積み重ねることで、情報発信の仕組みが出来上がり、営業力強化の土台になっていきます。

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