【バンクビジネス連動企画:第4回】予習と仮説で話題づくりをしよう
【近代セールス社「バンクビジネス」誌2017年7月1日号】
※当企画は、近代セールス社「バンクビジネス」誌の連載「すぐに成果が出る法人営業力UPセミナー」に連動しています。「バンクビジネス」誌の詳細は、こちらから。
第4回 商談プロセス「事前の情報収集」編 「予習と仮説で話題づくりをしよう」
金融機関の若手行職員向けの雑誌「バンクビジネス」において、当研究会の会員が執筆する連載が始まりました。2017年4月1日号スタートの連載「すぐに成果が出る法人営業力UPセミナー」という毎月1ページのショートセミナーです。 この連動企画では、雑誌の1ページに入りきらない、とっておきの豆知識を紹介します。また、内容は金融行職員さんに限ったものではなく、対象を広く一般企業の営業マンとして役立つものにしました。これを読んで、明日からの営業活動に役立てていきましょう。
共有できる話題づくりが必要な理由とは?
商談先と初めて会う場合、商談先は自社のことをよく知らないため、「製品・サービスを売り込まれるのではないか?」と警戒心を抱くものです。その警戒心を軽視して、売り込み姿勢で初回の商談を進めては、ちょうど商談相手が欲しいと考えていた製品・サービスで無い限り、抵抗されるケースが多いようです。商談先の警戒心を解きほぐし、心理的な距離感を縮めるには、下記図表の「AIDMAモデル」と「好意の返報性」でアプローチすることができます。
初めて会う商談先は、自社に対して注意が向いたものの、まだ興味を抱いていません。興味は好意の裏返しです。興味があるからこそ、好意を示すことができます。そこで、「好意の返報性」を応用し、自社から先に商談先への興味を示すため、共有できる話題を投げかけます。「当社のことをよくわかっているな」と商談先が認識してくれれば、「何をやっている会社なのだろう?」と自社に対して興味を持ってくれるのです。
予習における注目ポイント
業績や経営指標など、数値・数量で表せる情報を「定量情報」といいます。事業内容や企業の取り組みなど、数値・数量で表せない情報を「定性情報」といいます。
定量情報では、相対的な大きさで事業規模や業界内の位置付けを把握したり、推移で業況の良し悪しを把握することがポイントです。一方で、定量情報は事業を展開した結果ですので、その結果に至ったプロセスに焦点を当てるため、定性情報を活用します。
定性情報では、経営に関する知識を活かして読み解くことがポイントです。例えば、製造業であれば生産管理の知識を活かして、生産の3条件である品質管理・原価管理・工程管理、生産の4要素である人(技能)、機械設備、資材、情報(技術)など、各要素に分解して注目することで、強みや経営課題などの仮説に役立てやすくなります。
仮説を立てるポイント
営業活動では、顧客からの信頼を獲得することが重要です。そのためにも、自社が商談先に貢献できる仮説にこそ意義があります。貢献性を判断するには、2つの視点から自分自身に問いかけてみましょう。
①自社の製品・サービスを利用することで、商談先の弱みを克服できますか?
②自社の製品・サービスを利用することで、商談先の強みを更に強くできますか?
上記①②ともに、Yesなら仮説は有効ですが、Noなら仮説を立て直しましょう。
なお、予習や仮説は商談に備えた準備です。仮説の精度よりも、下記図表のように仮説・検証サイクルを回す方が重要です。顧客をより深く理解して貢献する精度を高めていき、長期的な関係性の土台にしていきましょう。