【バンクビジネス連動企画:第8回】「笑顔を練習して初対面に臨もう」

【近代セールス社「バンクビジネス」誌2017年11月1日号】

バンクビジネス11月号表紙

※当企画は、近代セールス社「バンクビジネス」誌の連載「すぐに成果が出る法人営業力UPセミナー」に連動しています。「バンクビジネス」誌の詳細は、こちらから

第8回 商談プロセス「初期訪問」編 「笑顔を練習して初対面に臨もう」

金融機関の若手行職員向けの雑誌「バンクビジネス」において、当研究会の会員が執筆する連載が始まりました。2017年4月1日号スタートの連載「すぐに成果が出る法人営業力UPセミナー」という毎月1ページのショートセミナーです。 この連動企画では、雑誌の1ページに入りきらない、とっておきの豆知識を紹介します。また、内容は金融行職員さんに限ったものではなく、対象を広く一般企業の営業マンとして役立つものにしました。これを読んで、明日からの営業活動に役立てていきましょう。

バンクビジネス紙201711号

メラビアンの法則は「3Vの法則」

2005年に出版されてベストセラーとなった『人は見た目が9割』(新潮新書)。読んだことがなくても書名を目にした人は多いでしょう。その本の原案ともなっている有名な“メラビアンの法則”をベースに、コミュニケーションを考えてみます。
「3Vの法則」ともいわれるアルバート・メラビアンが提唱したこの法則において、有名な数字があります。

Verbal(言語情報)<メッセージ>7%
Vocal(聴覚情報)<声のトーンや口調>38%
Visual(視覚情報)<表情・ボディランゲージや服装>55%

Vocal+Visual=93%との数値から、“見た目「こそ」が大事”つまりプレゼンテーションが重要だと一般的に理解されているようで、納得できる部分ももちろんあります。

ただし、メラビアンの実験には条件があった

さて、メラビアンの法則を導き出す過程で、ある実験がなされました。この実験の条件をあえて簡単にまとめると「①感情を伝える際に、②メッセージと声のトーンや身体言語が矛盾した場合、③情報の受け手が重視するものは何か」ということでした。この場合、受け手の理解に最も影響を与えるものがVisual(視覚情報)だった(上記のパーセンテージをご参照ください)、というのがこの実験の結果です。

  1. つまり、例えば「嬉しい」といった明確な感情言語を、ふさいだ声の調子で、視線を手元に落としたまま話しても、あなたが伝えたい「嬉しいという感情(気持ち)」は伝わらないということです。想像してみてください。「あなたはとても頑張ったね」と褒めながら、話し手の目線は手元のパソコンのキーボードにある。この場合、聞き手は自分に関心がないと感じ、むしろ評価されていないとがっかりします。
  2. 「これではダメだよ」とニヤニヤしながら叱る。この場合は話し手の表情(ニヤニヤ)に引っ張られて、聞き手は叱られているとは理解せず、決して反省することはありません。

※そういえば、その昔、“笑いながら怒る”芸で売れた方がいましたね。意図したのかわかりませんがメラビアンの法則を逆手に取ったのかもしれません。この法則が提唱されたのは1971年ですから、もしかするとありえるかも知れません。このように、メラビアンの法則は「事実」ではなく「感情」を伝達するという、限定された条件における実験より生み出されたものでした。

判断するのはお客様。だから鏡を活用しよう

自然な明るい笑顔を作るにも、ぶっつけ本番でうまくいくとは限りません。あなたの表情が実際にどう見えるか、練習してみることが大切です。ポイントは鏡を使うことです(自宅でどうぞ)。「目から力を抜くこと」「口角を少し上げること」、この2つを意識して、鏡の前で笑顔を作り自分で確認してみましょう。

法則は活用できる。「3つのV」のベクトルを一致させ、「伝える力」を強化しよう

とはいえ、メラビアンの法則は、日常のコミュニケーションにも活かせます。 今は亡きスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションを思い出してみましょう(web上に動画がたくさん残っています)。彼のプレゼンテーションには、まず強烈なメッセージがありました。その上で、声のトーン・間の取り方、視線やボディランゲージを駆使して、私たちを彼の話に引き込み、新しい未来を感じさせました。

このように、「3つのV」のうちで、最も重要なものはVerbal(言語情報)です。仕事柄、私はコーチングやティーチングを日常的に行っていますが、「あなたの伝えたいことこそが重要」と繰り返しお伝えしています。メッセージそのものを磨くことが大切です。そのメッセージをあなたの意図通りに強調するためにこそ、残りの2つのV 、Vocal(聴覚情報)<声のトーンや口調>とVisual(視覚情報)<表情・ボディランゲージ>があるのです。

繰り返しますが、重要なのは何よりもメッセージです。そのうえで、そのメッセージVerbal(言語)に合わせて、非言語コミュニケーションであるVocalとVisualのベクトルをそろえることを意識すれば、「伝える力」は飛躍的にアップします。嬉しいことは、嬉しそうな声で、嬉しそうな表情と身振りで伝える。相手にメリットがあることは、はっきりとした口調で、自信をもった表情と身振りで伝える。この「3つのV」のベクトルを一致させることで、あなたの「伝える力」はさらに強化されるでしょう。

3つのつのV


第8回執筆:島田満俊(中小企業診断士、営業力を科学する売上UP研究会)

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