御用聞き営業でトップに会っていますか

先日、或る金融機関の法人営業課長から「御用聞き営業の効果的な方法」について行内で勉強会を開いてもらえないか」と相談を持ち掛けられました。それを近くで聞いていた役員の方はこう口添えしました。「御用聞きでも集金でも何でもよいので、1ヵ月に1回はトップに会うように言っている」と。この役員は、ご自分の商品の特長をよく押さえておられます。

商品・サービスは、単価や購買頻度の点から大きく2種類に大別できます。1つめは単価が比較的低く、何度も繰り返し購入される「低単価・繰り返し購入品」です。サザエさんに出てくる三河屋さんが扱うお酒が、まさにそうです。2つめは単価が高めで、購入前に商品特性、品質や価格を比較して計画を立てて購入する傾向が強い「高単価・計画購入品」です。

御用聞き営業では「低単価・繰り返し購入品」が多いですが、「高単価・計画購入品」の御用聞き営業もあります。機械や設備は提案営業だと思われるでしょうが、何年に1回か発生する設備投資の検討時期には提案営業になりますが、それ以外の大半の時期では、設備投資案件が発生してない中での御用聞き営業です。前述の金融機関の法人営業部門が扱う金融商品もそうです。顧客企業がいつ設備投資するのか、いつ資金需要が発生するのか、その時期がなかなかつかめません。営業員は定期訪問を欠かさずに、情報提供や御用を聞き続けながら、そのタイミングを虎視眈々と狙っています。

ここで先週と同じ組織図を再掲します。この組織図の中の誰を訪問するかという点で、成績が良い営業員には或る特徴があります。

階層別アプローチ

成績が良い営業員は必ず社長に会います。御用聞き営業でも必ずです。もっとできる営業員は、最初に社長に会って、その後に現場に立ち寄ります。売上状況や今後の考えを社長から聞き取り、機械メーカーであれば機械の稼働状況や困りごとについて、工場長や現場の従業員と話をします(注:金融機関であれば財務部の部課長と話します)。「高単価・計画購入品」案件はトップ主導の場合と現場主導の場合がありますが、いずれであっても機先を制せます。トップと現場の両方に会っていると、裏を取ることで情報の信ぴょう性を判断できます。この組織図で言うと、一番上(トップ)と一番下(現場)をおさえるわけです。

できない営業マンにも特徴があります。組織図の下側にいる誰か一人と会い続けて、他の人と話さない傾向があります。

貴社の営業員は顧客のトップと定期的に会っていますか。トップと会っていない(もしくはトップに会ってもらえない)営業員は、仮に案件が発生しても自社が土俵に乗れぬまま不戦敗を喫している可能性があります。

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