営業プロセスを作ると打ち手が見えてくる
筆者が実際に携わった、パン屋さんや洋菓子店などに包装材料を納める包装材販売店における事例を紹介します。
実は「営業マンが誰も新規開拓営業をやらない」と嘆く社長に対して、新規開拓営業の進め方について相談に乗っていました。社長が実際に行なっている営業手順をお伺いすると、ある一定した手順で進んでいることが分かりました。前述の4段階の営業プロセスを幾らか改良して、ホワイトボードに示すと、社長が感動の表情に一変したのです。
「そう、そう、自分がやっているのはまさにこれ!」
我々との会話がきっかけになって、社長がやる気に満ちた表情に変わるシーンに立ち会えるのは、我々コンサルタント冥利に尽きる瞬間です。引き続き社長と討議を重ねて、次のように6プロセスで構成される売上UPピラミッドが完成しました。
営業活動の成果を見える化するためには、案件数を数えることができて、誰が数えても同じ数になることが重要です。そこで、各プロセスにおける案件を定義づけました。例えばサンプル提案とは「サンプルを見せて採用を促した」案件と決めて、カタログ提案プロセスや見積提示プロセスも同様に定義づけをして、それぞれの違いを明確にしました。
すると、担当者別にその営業プロセスの案件数がわかり、前月からの増減も一目瞭然です。経営者と営業マンが同じ認識を共有できるので、対策を打ちやすくなりました。
このように営業プロセスをまとめると、一番下の引合情報を入手することで商談がスタートできることがわかります。次にどうやって引合いを貰えばよいか考えていきますが、実はこれが難しいことです。
顔馴染み客が多い社長と違って、経験が浅い営業マンでは引合いの入手に苦労します。「引合情報をもらえる時は何がきっかけになっていましたか」「社長以外の社員さんが、経験が浅くても引合いをもらうにはどんな手段が考えられますか」と社長に問い掛けて討議した結果、引合情報入手の下に①情報提供プロセスを入れました。
経験の浅い社員さんができる情報提供方法として、お役立ち情報を載せたチラシを定期的に制作して営業マンが配ることからスタートしました。この会社にとっての貴重な一歩です。
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