重点顧客との関係強化法
「重点顧客との関係が弱くて取引が広がらない」困りごとに最適
顧客にかかわる情報を共有して、会社が一丸となって取り組む
取引額が大きい重点顧客に売上の多くを依存している場合、重点顧客の取引を失ったら自社売上が大きく落ち込んでしまいます。逆に、今後成長が見込まれる重点顧客に新しい商品を採用してもらえれば、売上アップにつながります。
このような重点顧客に対しては、営業部だけでなく、開発部、製造部、そして経営層が、顧客にかかわる情報を共有して、会社が一丸となって取り組むことが重要です。顧客特有の事情をつかんで人間関係を強化していき、会社が抱える案件1つ1つの特徴を把握して最適な商談を進めて、成約への道筋を描いていくことが大切です。
具体的なやり方としては、顧客との関係づくりを描く「顧客戦略シート」、案件の成約への道筋を描く「案件戦略シート」、各部署のアクションを定めた「行動計画表」という3つのツールを運用して、PDCAを回していくことで、着実な売上アップにつなげていきます。
顧客の立場で次の行動を予測する
会社一丸で重点顧客との関係づくりに取り組もうにも、顧客情報が社内で共有化されていないために、スムーズに進まないケースがよくあります。そこで、A3横サイズの「顧客戦略シート」に、重点顧客の基本情報を一覧表にまとめて「見える化」することが有効です。
「今の時代にEXCELを使って紙で情報共有か?営業支援システムSFAを使って情報共有していますよ」という会社が多いと思います。しかし、SFAは営業部が入力して経営層は閲覧していますが、開発部や製造部はSFAへのアクセス権を持たないことが多く、全社で情報を共有するという点では不十分です。
顧客の立場に立って考えると、顧客が次にどういう行動に出てくるか予想しやすくなり、先んじた営業活動ができます。顧客戦略シートの冒頭で、顧客が置かれた状況を、次のような観点からまとめます。
・主要な仕入先・得意先
・相対的な強み・弱み
・主要製品とその特徴
これら情報をまとめると、顧客にはどのような製品があって、競合企業と比べた特長や得意先が何か、ということが分かります。
攻め方の見える化
重点顧客への攻め方を決める場合、まず、3年後の売上高目標を立てると同時に、「重点顧客のA購買部品のNo.1サプライヤー」になるという定性目標を立てます。次に目標を達成するために、分野別に基本戦略を立てます。
・組織戦略(関係づくりの方法は?)
・製品戦略(どの商品を売り込むか?)
・競合戦略(競合にどう勝つか?)等
また、複数ある案件をまとめたり、顧客にとっての競合状況を列記して、先手を打って対処することが大切です。
攻略ストーリーの見える化
顧客戦略と案件戦略とは、別々に管理することが効果的です。なぜなら、顧客戦略の目標は顧客との長期的な関係づくりであり、案件戦略の目標は1つ1つの案件を成約することだからです。
「案件戦略シート」に、次のようなことを一覧にまとめて管理していきます。
・案件の規模はどのくらいか?
・商談の進捗はどうか?
・スケジュールは実現可能か?
・先方の意思決定プロセスやキーマンはどうなっているか?
案件の状況を「見える化」して、複数の案件が並行して進む商談を、会社一丸になって管理していきます。
行動予定の見える化
重点顧客との商談に関与するのは、営業担当者だけではありません。上長である営業管理職はもちろん、社長はトップ営業を行い、技術や商品の説明にはエンジニアが同席し、全社挙げて組織営業します。
そこで行動計画表を使って、テーマ別、部署別に細分化し、目指す成果(ゴール)を決めて、週単位で「次の一手」を設定して、PDCAを回していくことが効果的です。次の一手において「誰が、誰に、どのように、いつまでに、どうする」を決めておけば、漏れがありません。
経営支援事例
営業力診断アンケートで可視化した課題を、当メニューを使って営業力強化を行った実際の経営支援事例です。A4両面のPDFにまとめていますので、ご覧ください。
「企業診断」2019年10月号(同友館)に掲載されました!
売上アップ!中小企業とコンサルタントのための営業力強化支援
第2章事例-Vol.1、第3章事例-Vol.2