ウリを伝える会社案内のつくり方
顧客を開拓するためには営業に使える会社案内が必要です
売上を上げる手段のひとつが顧客開拓です。そのためには会社の概要や営業内容を伝える営業ツールが欠かせません。会社案内が代表的な営業ツールですが、営業に使える会社案内を準備できている事業者さんは多くありません。展示会や商談会を前にして、営業ツールがないというお話もよく耳にします。
ここでは、営業ツールとなる会社案内のつくり方を考えます。単なる会社紹介にとどまらない、引き合いに結びつけるための「営業力のある会社案内」です。
会社案内に載せる要素は4つ
会社案内に載せる項目は4つ。それは、相手の興味を引く「自社のウリ文句」、それを具体的にイメージさせる「事例」、ウリの根拠となる「技術や設備」、ウリを支える「会社の基本情報」です。順番も今お伝えした並び方が望ましいでしょう。
「ウリ」から説明する理由ですが、それは、相手は忙しく、こちらの話を積極的に聞きたがっていない、そのような状況が考えられるからです。ですから、相手の興味を引くために「これがウリです」とずばり結論から入る必要があるのです。そして、興味を引いたら、「具体的には、このようにご利用いただいています」「このウリを実現しているのはこの技術や設備です」「会社はこのような実態ですので、ご興味があればこちらにお問い合わせください」と説明すれば、立派な営業トークになります。
「ウリ」の考え方
「ウリ文句」は「ウリ」を「言葉で表現したもの」です。ですから手順としては「ウリ」そのものから考えることになります。ところが「御社の「ウリ」は?」と訊かれても、答えられない方がたくさんいます。問題や課題は意識していても、ウリを意識することが少ないからでしょう。
普段意識しないウリを考えるコツは、「小さなウリ」を「たくさん」見つけることです。特別なウリではなく「小さなウリ」なら見つけやすいはずです。また、自分たちは「ウリ」と考えていても、顧客はそう捉えていないこともあります。ですから「たくさん」見つける必要があるのです。小さなウリをたくさん見つけたら、それらを一つ一つ検証し、見直していきます。
「ウリ文句」の考え方
「ウリ」が見つかったら、それを顧客の立場に立って見直してみましょう。自社のウリは顧客に何をもたらすのか、顧客の目線で考えてください。顧客目線で考えるコツは、顧客の課題を解決する視点で考えることです。顧客が製造業なら品質向上、短納期、コスト削減、在庫削減、小ロット対応などの課題が一般的です。顧客が小売業なら商品開発、集客、お客様との関係づくり、販売コストの削減など。顧客が消費者なら、生活上の不満や不便、不快に着目してみましょう。
これらの課題解決に、自社のウリがどのように貢献するのかを考えてください。それを文章で表現したものが「ウリ文句」です。気の利いた言葉は不要です。誰の、どのような課題を、どのように解決するのか、これをストレートに表現することが伝わりやすいウリ文句のコツです。
パンフレットの体裁はフォーマットを利用しましょう
「ウリ文句」が出来たら、いよいよ会社案内の原稿の作成にとりかかります。ここで気をつけたいのは、格好の良い体裁にこだわらないことです。それよりも大事なことはスピードです。時間や手間をかけずに、まず営業に使ってみましょう。特別なデザインソフトがなくても、大抵のパソコンにインストールされているパワーポイントで十分です。
当研究会では、汎用的に使えるパワーポイントのフォーマットを作成しました(見本参照)。レクチャーとともに有料でご提供することができますので、ご希望の方はご連絡をください。
フィードバックが大切
前項で「まず営業に使ってみましょう」とお伝えしました。その理由は、顧客の反応を会社案内の内容に反映するためです。最初はなかなか引き合いに結びつかないことでしょう。なぜ結びつかないのか聞き取って、それを会社案内に反映させることが最も大事なポイントです。これを繰り返すうちに会社案内の精度はどんどん上がり、貴社の頼もしい営業ツールに育っていくはずです。
会社案内事例
当手法に沿って制作した会社案内のパンフレット(A3横サイズ)、チラシ(A4縦サイズ)をご紹介します。
Vol.1 築地 田中商店
自家製粕漬を、3代つづく伝統の味、築地ならではの目利き力などのウリを添えて、A4縦サイズ両面チラシで訴求。
当チラシ作成を支援した中小企業診断士:大谷秀樹