課題を見える化して、短期で結果を出す

私事ながら、11月4日に開催された「中小企業経営診断シンポジウム」で最優秀賞(中小企業庁長官賞)を受賞しました。中小企業診断士が企業に対してご支援して実現した経営革新事例が、事前提出した論文と30分間のプレゼンテーションを通して、審査員に評価されます。「中小企業庁長官賞」は中小企業診断士にとって、もっとも栄えある賞です。

受賞テーマは「営業力の可視化を端緒に業務改善と新規顧客開拓による営業革新」です。内容は、2020年2月から1年半にわたり、「コロナ禍」に「対面営業」で「新規顧客開拓」を増やすという、難易度が高い営業革新でした。

難易度が高いテーマにどのように取り組んで、結果を出せたのか。読者の皆様に多少でも参考になればと思い、ご紹介します。1年半にわたる営業革新活動をまとめると、次の流れになります。

営業革新活動の流れ

営業力診断アンケートで営業力を可視化
法人営業活動はお客様先で行われ、営業員任せになりがちなために、経営者には営業の状況や問題点がなかなか見えづらいものです。経営者に見えなければ、支援する我々コンサルタントも知りようがなく、ご支援するチャンスに至りません。そこで、企業の営業員に約20分かけてWeb上で「営業力診断アンケート」に取り組んで頂きます。企業に対する診断結果報告会で、営業力や営業の課題を可視化して、改善提案を行います。その場で課題を共有して、目指すべき目標を設定します。

業務改善活動による営業業務の時間短縮(短期効果)
法人営業では新規訪問から情報提供、見積提出を経て受注に至るまで、長い営業プロセスをたどります。そのプロセスを1つずつ強化していくので、売上UPが顕在化するまでに時間がかかります。経営者は皆さんせっかちなので、長くは待って頂けません。そこで、時間創出につながり、短期間で成果を出せる営業業務改善に先行して着手しました。

最終ゴールである「新規顧客開拓」に一見して関係が薄そうな営業業務改善をなぜ最初に手掛けるのか。それは、関係者全員がハッピーになるテーマだからです。前述したとおり短期間(半年前後)で結果を出せますし、時間創出できれば営業員も喜び、時間の余裕ができます。業務改善の中で仕事のやり方を変えるのは誰しも抵抗がありますが、どの会社もどの人も時間が足らない現代において、使える時間が増えれば誰もが喜びます。事例企業では1月あたり3.3日間を時間短縮できました。時間こそが一番の経営資源です。この3.3日間を使って、今まで忙しくて着手できなかったことにトライできるし、新規訪問する余裕が生まれます。

業務改善の成功には秘訣がある
筆者自身、QC活動に基づく業務改善を長く手掛けており、ものづくりの現場、事務現場、営業現場に対する改善活動指導は筆者の十八番です。10社以上ご支援して成功確率が100%です。その秘訣は、従業員の皆さんが「ムダとは何か」を心の底から理解して、業務改善活動の動機づけができることです。

営業課題を見える化して、営業業務改善による短期効果として時間創出する。そこでやっと、中期的な大きな課題に取り組む余裕が生まれるのです。

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