法人営業の新規顧客開拓法
新規顧客開拓に取り組む理由
弊社では最近、お客様企業の新規顧客開拓を支援する機会が増えてきました。企業が新規顧客開拓に取り組む理由はいろいろありますが、弊社のお客様の場合、主に2つの理由があります。
・既存顧客向けの売上が減っているので、新しい市場や顧客を開拓したい。
・主要顧客への売上依存度が高いので、他の売上を増やすことで1社への依存度を下げたい。
3フェーズ・16段階の新規顧客開拓プロセス
新規顧客開拓とは、同業他社と取引している会社に働きかけて、取引先を自社へ切り替えて頂く取り組みです。相手が現在の取引先に満足していれば、新規開拓訪問を受ける必要はありません。ですから、営業員にとって新規顧客開拓は成功する確率が低く、ともすれば心が折れてしまいそうになる、難易度が高い営業活動です。
新規顧客開拓に取り組むにあたって、既存顧客向け営業との違いを理解しておきましょう。まず、渡邉卓著「営業力強化の基本と手法」P.133から、3フェーズ・16段階から構成される新規顧客開拓プロセスをご紹介します。
新規顧客開拓は、ターゲット企業に対する接触方法を決めるために、一番下の「事前の情報収集」から始めます。接触方法が決まれば「アポ獲得」「初回訪問」へ、一段階ずつ上がっていきます。「会社・商品の説明」をしただけで次につながらない場合もありますが、継続訪問が許されれば「情報提供」を続けていきます。提供した情報が相手の興味を引いて『実はこういうことに困っている』と打ち明けてもらえれば、「顧客の情報把握」ができて、やっと「関係づくり」フェーズを完了できます。
既存顧客とは「関係づくり」ができているので、既存顧客への営業活動は「初回提案」から上の「成約」フェーズの中で行います。このように「関係づくり」フェーズが新規顧客開拓に特有の業務であり、難易度が高いのです。
事前の情報収集プロセス/新規顧客へのアプローチ方法
上図で取り上げた「事前の情報収集」を詳しくみていきましょう。ここでは、ターゲット企業に到達する手段を探すことが主な作業です。下図では新規顧客へのアプローチ方法を9種類ご紹介します。
何といっても、質が高い紹介先を得られて成功確率が高い方法が、紹介(金融機関による紹介 を含む)です。他にも「商社・代理店の活用」「セミナーの開催」などがあります。それぞれの利点と欠点を書いていますので、ターゲット企業ごとに最適なアプローチ方法を決めましょう。
情報提供プロセスを続けるために営業ツールを揃える
相手のことをよく知らない状態では、どういう情報が相手の興味を引くか分かりません。数多くのお役立ち情報を用意しておかないと、いつかネタ切れになります。弊社が唱えているのは、お客様に3回会える「営業ツール(営業ネタ)」を、会社として揃えることです。
新規開拓訪問で営業員は、「次回は何しに来られるの? こっちは忙しい中で時間を割くのだから、弊社に役立つ情報があるならどうぞ」という厳しい姿勢で接してきます。「新規開拓訪問を営業員の努力でなんとかしなさい」ではダメです。会社全体で訪問ネタを作る。それが前回コラムで紹介した「お客様に会うための営業ツールを充実する」ことです。
3フェーズ・16段階の1つ1つに、取り組み方があります。1つ1つ仕組みを作って乗り越えて、自社にとって成功確率が高い新規顧客開拓法を確立しましょう。
具体的な方法は拙著「営業力の基本と手法」に詳しく記載しています。