自社の月間訪問件数を即答できますか?
訪問件数は営業の有限のリソース
営業活動の基本は顧客訪問です。ですから営業会議では、上司の口から「もっと顧客訪問を増やそう!」という指示がよく出てきます。誰しも、できるだけ多くの顧客訪問をこなしたいでしょうが、訪問可能な件数には上限があります。
1人の営業員が1ヵ月で可能な顧客訪問件数を計算してみましょう。土、日、祝日を除くと1ヵ月の稼働日(平均)は22日です。そこから、社内での会議、事務処理、さらに待ったなしで対処しなければならないクレーム処理などを差し引くと、顧客訪問にまるまる費やせる日は1ヵ月に15日くらいしかありません。そして、商談時間や移動時間の多寡によって1日に訪問できる件数は異なりますが、1日に5件訪問できる場合、次のような計算式で月間訪問件数を計算できます。
実際の訪問件数はこれくらいです
先日、営業管理者向けに一日研修を行いました。この計算式を説明した上で、製造業や建設業に勤務する受講者から聞き取った月間訪問件数は以下の通りでした。
6件/日×15日/月=90件/月
2件/日×12日/月=24件/月
4件/日×13日/月=52件/月
5件/日×15日/月=75件/月
弊社が継続支援する企業においても、100件/月を超える卸売業もあれば、20件/月に満たない建設業もあります。商材や地域によってさまざまです。多ければ良いというものではありませんが、営業員1人が1ヵ月に訪問できる件数は多くても100件程度だということがおわかりでしょう。
訪問すべき客を決める
営業員の顧客訪問は、法人営業において最重要な活動です。そして時間という点から有限なリソース(経営資源)なのです。この有限の訪問件数、1人当たり1ヵ月に75件から100件をどの企業に割り振るか、が重要な営業戦略になります。
まず、訪問すべき客を決めます。
a) 営業方針・施策の中で、活動強化することを決めた企業
b) ターゲットリストに含まれる企業
c) 案件が進行中の企業 など
訪問しない客を決める
人は居心地がよい客、長く取引して親密な客を訪問しがちです。しかし、訪問件数が有限なリソースであれば、訪問すべき企業への訪問件数の枠を確保するためには、訪問しない企業を決める必要があります。
d) 年商○円以下の企業
e) 前年取引額が○円以下の企業
f) 片道2時間以上の移動時間がかかる企業 など
訪問しない客を決めないと訪問件数が増えていき、営業員が疲弊してしまいます。今までお世話になった客を訪問してはいけない、と告げるのはつらいことですが、そうやって作り出した時間で、訪問すべき客を確実に訪問しましょう。
訪問しない客への対応方法
訪問しないと決めた客も大切なお客様です。そこで、次のような対応をおすすめします。
g) 電話やメールなどで接触を保る
h) 先方から連絡があったら対応する
このような顧客対応から案件が発生すれば、訪問すべき客の「c) 案件が進行中の企業」に該当するわけですから、訪問を再開すればよいのです。そのようにして、顧客訪問の生産性を高めていきましょう。
具体的な方法は拙著「営業力の基本と手法」に詳しく記載しています。