商談履歴は営業の金脈だ―データを掘り起こせば商機が見える
法人営業の取引は「長く」続く
個人客と違って法人客は、例えば1台の装置を購入したとしても、時期がくれば、複数台を購入したり、買い替えたりします。また、今は取引がなくても、接触を続けていれば、先方の購買方針が変わって当社が取引するチャンスが生まれることもあります。このように、法人営業において顧客との関係は長く続きます。
また法人営業では、1つの案件が発生して成約に至るまでの商談期間が長く、高額な取引になれば1年を超えることもあります。これは、購買部門に加えて、技術、工場、営業など多くの利害関係者が購買にかかわるので、キーパーソンの特定や人間関係の構築に時間がかかりますし、充実した情報提供や手順に沿ったプロセス(例:稟議書、取締役会での決裁など)を踏むためです。下表は法人営業と個人営業の違いを表していますので、参考にしてください。
当社側も、営業員に加えて、上位役職者、技術者、サービス部門なども関与した組織営業になるので、メンバー間で情報共有が必要になりますし、長く続く商談の初期のことまで覚えきれません。ですから、商談結果を記録して関係者で情報共有することが重要になります。
商談結果を記録して情報共有する
読者の皆様の会社では、商談結果を記録しているでしょうか。そして、商談記録は上司だけでなく関係するメンバーが自由に閲覧できる仕組みができているでしょうか。
商談記録の例を用意しましたのでご覧ください。「当方が次世代機器コンセプトをプレゼンした」という営業行動に加えて、それに対する「相手の反応」が書かれている点で、この商談記録は優れています。
しかし、10月27日の商談の結果は芳しいものではありません。これを読んだ上司は、商談がうまくいっていると担当者から聞いていましたが、あやうく失注になりそうな状況に対して「なぜこういう結果になったんだ? 何が問題だったんだ?」と思うでしょう。しかし、担当者に尋ねても理由をつかめていません。ここで役に立つ情報が商談履歴です。
商談履歴は、顧客ごとの商談を時系列で記録した「営業の金脈」
これは10月27日に加えて、9月23日、10月6日の商談を加えた商談履歴です。上から順に読んでみてください。
商談履歴には、担当者さえ気づかない貴重な情報が隠れている
9月23日の当社プレゼンに対して高い評価を頂きました。次世代機器を提案するにあたり、次回商談で要望仕様を聞き取ることになりました。次の10月6日の商談には、あいにくキーパーソンの所長が体調を崩してお休みになり、所長から預かった要望仕様を△△主任から聞き取っています。
もう読者のみなさんは、お分かりですね。キーパーソンである所長から直接聞き取ってないのです。おまけに、3つの質問のうちCに対しては△△主任が答えられず、所長に確認して頂く宿題が残りました。この答えを頂けてないまま、10月27日の提案に至ったのです。
商談履歴のメリット
1つの商談記録、一連の商談履歴、この違いがおわかりでしょうか。企業は何年、何十年と事業を行います。その間に担当者も経営者も代替わりします。商談履歴を積み重ねていれば、次のようなメリットがあります。
・担当者が過去の経緯を理解して商談に臨める。
・上司が担当者に的確に助言できる。
・突然の担当者変更があっても、スムーズな引継ぎに役立つ。
・社長や役員が表敬訪問する際、事前に商談履歴を読んでおけば会話に困らない。
10年後でも読み返せるようにクラウド上で商談履歴を運用する
では、みなさん、商談履歴をどのように記録していますか。EXCELの記録は3年もたてば、該当ファイルを探すのが大変になり、いずれ読まれなくなります。ぜひ、クラウド上で記録しましょう。
サイボウズ社のキントーンを使ったSFAを2021年に導入して、売上UPと新規顧客開拓を実現した石油製品卸売業の営業力強化コンサルティングの成功事例をご紹介します。当社は今も全商談をSFAに記録していますので、4年以上の商談履歴が蓄積されています。その間に前担当者の退職にともなう担当者変更がありますから、SFA商談履歴のおかげでスムーズな引継ぎができました。商談履歴は企業の宝物です。
詳しくは以下ボタンからご覧ください。