法人営業の新規顧客開拓法

新規顧客開拓の重要性

企業が新規顧客開拓に取り組むのは、次のような経営・営業戦略上の重要な意図に基づいています。

1.売上・利益の成長確保
既存顧客への売上はやがて頭打ちになることが多く、成長するためには「常に」新たな顧客開拓が不可欠です。すでに既存顧客への売上が減っていれば、迅速に取り組むことが必要です。
2.市場環境や競合の変化への対応
業界構造や顧客ニーズの変化にともない、これまでのターゲット層だけでは立ち行かなくなる場合があります。新しい市場やセグメントに進出することで、競争優位を再構築できます。
3.既存顧客への依存リスクの軽減
一部の大口顧客への売上依存度が高いと、取引停止・縮小による影響が大きくなります。顧客基盤を分散させることで、収益の安定性を確保できます。

弊社では最近、お客様企業の新規顧客開拓を支援する機会が増えてきました。ちなみに弊社のお客様の場合、1項「既存顧客向けの売上が減っている」と3項「最大顧客への売上依存度が高い」ことが取り組み理由です。

3フェーズ・16段階の新規顧客開拓プロセス

新規顧客開拓とは、同業他社と取引している会社に働きかけて、取引先を自社へ切り替えて頂く取り組みです。相手が現在の取引先に満足していれば、新規開拓訪問を受ける必要はありません。ですから、営業員にとって新規顧客開拓は成功する確率が低く、ともすれば心が折れてしまいそうになる、難易度が高い営業活動です。

新規顧客開拓に取り組むにあたって、既存顧客向け営業との違いを理解しておきましょう。まず、渡邉卓著「営業力強化の基本と手法」P.133から、3フェーズ・16段階から構成される新規顧客開拓プロセスをご紹介します。

新規顧客開拓は、ターゲット企業に対する接触方法を決めるために、一番下の「事前の情報収集」から始めます。接触方法が決まれば「アポ獲得」「初回訪問」へ、一段階ずつ上がっていきます。「会社・商品の説明」をしただけで次につながらない場合もありますが、継続訪問が許されれば「情報提供」を続けていきます。提供した情報が相手の興味を引いて『実はこういうことに困っている』と打ち明けてもらえれば、「顧客の情報把握」ができて、やっと「関係づくり」フェーズを完了できます。

新規顧客開拓が難しい理由

既存顧客とは「関係づくり」ができているので、既存顧客への営業活動は「初回提案」から上の「成約」フェーズの中で行います。

一方、「関係づくり」フェーズが新規顧客開拓に特有の業務であり、成功する確率が低く、難易度が高いのです。そのような難易度が高い業務を営業員任せにすると、営業員は他の業務を優先してしまい、新規顧客開拓がなかなか進みません。多くの企業はこれに悩んでいます。だからこそ、会社として取り組む必要があり、仕組みをつくって営業員をバックアップする体制が不可欠なのです。

事前の情報収集プロセス/新規顧客へのアプローチ方法

上図で取り上げた「事前の情報収集」を詳しくみていきましょう。ここでは、ターゲット企業に到達する手段を探すことが主な作業です。下図では新規顧客へのアプローチ方法を9種類ご紹介します。

何といっても、質が高い紹介先を得られて成功確率が高い方法が、紹介(金融機関による紹介 を含む)です。他にも「商社・代理店の活用」「セミナーの開催」などがあります。それぞれの利点と欠点を書いていますので、ターゲット企業ごとに最適なアプローチ方法を決めましょう。

情報提供プロセスを続けるために営業ツールを揃える

相手のことをよく知らない状態では、どういう情報が相手の興味を引くか分かりません。数多くのお役立ち情報を用意しておかないと、いつかネタ切れになります。弊社が唱えているのは、お客様に3回会える「営業ツール(営業ネタ)」を、会社として揃えることです。

新規開拓訪問で営業員は、「次回は何しに来られるの? こっちは忙しい中で時間を割くのだから、弊社に役立つ情報があるならどうぞ」という厳しい姿勢で接してきます。「新規開拓訪問を営業員の努力でなんとかしなさい」ではダメです。会社全体で訪問ネタを作る。それが前回コラムで紹介した「お客様に会うための営業ツールを充実する」ことです。

3フェーズ・16段階の1つ1つに、取り組み方があります。1つ1つ仕組みを作って乗り越えて、自社にとって成功確率が高い新規顧客開拓法を確立しましょう。

売上UPと新規顧客開拓を実現した営業力強化コンサルティングの成功事例をご紹介します。

 

 

関連記事

  1. 顧客との関係性レベル 顧客との人間関係を強める
  2. ローカルベンチマーク(ロカベン)で営業の課題を掘り下げて売上UP…
  3. インサイドセールスが初回訪問へつなげる
  4. 若手営業員が顧客を定期訪問できない要因 なぜ訪問件数を増やせないのか
  5. 営業力診断アンケート_戦略力の質問抜粋 売れるターゲットリストをどのように作るか
  6. 営業方針策定の視点_方針間の連携 営業方針を具体的に作り込む
  7. 重点顧客との関係強化法 重点顧客を深く知るために各人がもつ情報を共有する
  8. ビジョンと目標設定 営業方針は短期だけでなく3~5年先の中長期営業方針が重要
PAGE TOP