営業力強化の重要性
営業力強化に注力したい中小企業
著者が講演などでよく紹介するデータの1つが「中小企業経営者が経営基盤強化に向けて注力する分野」です。日本政策金融公庫が毎年、同公庫取引先500社以上に対して行っている調査で、最新版「2022年の中小企業の景況見通し」が2021年12月に発表されています。その調査項目の1つに「経営基盤の強化に向けて注力する分野」があり、上位5つの3年間の推移を並べたのが下のグラフです。
グラフの3色のうちグレー色がコロナ以前の2019年11月の調査、赤色がコロナ1年目の2020年11月調査、そして青色がコロナ2年目の2021年11月調査の結果です。「営業・販売力の強化」は過去10年以上にわたってずっと1位を占めており、営業力、そしてその先にある、売上の維持やアップに対する経営者の危機感が表れています。
2位以下を見てみると、年によって大きく変動しています。コロナ1年目の2020年11月調査では、業種によっては需要が消失してしまったこともあって、コロナ以前に比べて「人材の確保・育成」が下がりました。そして、コロナ2年目の2021年11月調査になると状況が一変しています。半導体に代表されるとおり、サプライチェーンの制約により多くの業界で納期遅延が起こって「供給能力の拡充」が緊急課題になりました。また、物資の値上がりにより「販売価格引き上げ・コストダウン」が増えています。
属人的な営業から科学的営業へ
企業規模が比較的小さい中小企業では、社長お一人が、または、カリスマ営業部長に頼って、営業活動を行なっていることが多いようです。これを、人に頼る営業という意味で、「属人的な営業」と言います。その方が会社を辞めたら、会社はどうなるのでしょうか。とたんに、売上が急減してしまい、会社の経営に深刻な影響を及ぼしてしまいます。
企業が存続するためには、安定した売上をあげ続けることが欠かせません。属人的な営業では、経営者は不安で仕方ありません。誰でも一定レベルの営業力を発揮できる仕組みを作ることで、仮に人が辞めたとしても悪影響を最小限にとどめることができます。「営業力を科学する」とは、営業を科学的にとらえることで、誰が、どのタイミングで、何処へ、どのように行動するのか明示することができるようになります。そうすれば、新任営業マンも戸惑うことがありませんし、一定レベルの成績をあげることが期待できます。
営業力を科学する3つのポイント
営業力を科学する上で、重要なポイントは以下の3つです。
1 | 営業活動を、プロセス毎に細分化する |
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2 | 営業活動を、可視化(見える化)した上で、仕組み化する |
3 | 営業活動で、PDCAを回し続ける |