見込客管理がうまくいかない理由は8つある

前号コラムでMA(マーケティングオートメーション)の必要性を、顧客の購買プロセスの変化から解説しました。ここで、法人営業を営む企業のマーケティング行動を振り返ってみます。マーケティング部門が中心になって展示会やセミナーなどのイベントを企画・開催します。イベント後にマーケティング部門から営業部門へ、イベント参加者リストを添えて「担当営業員によるフォローをお願いします」と依頼するのが一般的です。

ここに見込客管理がうまくいかない理由が8つ潜んでいます。まず1つめ。特にイベント直後の営業員は忙しいので、大量の見込客に対して個別接触(フォロー訪問)する時間をとれません。例えば展示会に3日間アテンドした営業員は、その間にできなかった既存客フォローがイベント後に集中します。そうすると、イベント直後にフォロー訪問できる客が限られます。2つめですが、イベントから間が空いて訪問すると、その頃には見込客の関心が下がってしまいます。確度が高いタイミングをつかめないので、フォローの優先順位付けもできません。

80.見込客管理がうまくいかない理由

3つめとして、展示会やセミナーへの参加者の関心具合(確度)はまちまちです。定期的なリサーチから次回購入設備の選定目的までさまざまですし、その確度がリストに反映されてないことがほとんどです。確度がまちまちな見込客が混じったリストに基づいて営業員が個別接触すれば、当然ですが空振りが多くなります。これが4つめです。これらが積み重なると営業員は、マーケティング部門が用意した見込客リストに対して、取り組みの優先度が下がってしまうのです。

マーケティング部門側にも問題があります。5つめと6つめはリスト管理の問題です。イベント毎にリスト化されたEXCELがあちこちにあり、見込客リストが統合できておらず、見込客の情報管理がうまくいっていません。また、営業部門に渡した見込客リストが営業員の個別のやり方でフォローされて、見込客リストが一元管理されていませんし、マーケティング部門から見ると、営業によるフォロー状況が見えません。

7つめは、見込客をセグメント(顧客属性)分けできてないことです。ここでいうセグメントとは、ポテンシャル(購買力)、緊急度、関心分野など独自の基準で見込客を4つ程度に細分化したものです。最後にセグメント別に分けてないので、メールマガジンをせっかく作っても一斉メールとなり、読者ニーズに合わないメールが届くから読まれない悪循環を繰り返します。

結構当たっていませんか。というより、多くの法人営業企業が陥る問題点だと思います。これがMAの必要性が高まった背景にあります。

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